『采配』

「采配」という言葉はこういうことを意味するのだなと、野球に詳しくなくても理解できると思います。

采配

落合博満
ダイヤモンド社 (2011-11-17)
ISBN:9784478016268
1,575円

 

監督と選手という職位上の立場からではなく、同じ人として、先輩としての観点から、人を育てしっかりと成果を出すこと。何が大切でどうやればいいのか。もちろんこうやってまとめて書くと簡単なことですが、それを長期的な重圧に耐えてやり遂げ結果を出す(結果を出した)姿勢に感銘を受けました。

読んでいて猛々しい雰囲気がなく、全編通して穏やかに優しい感じで語られているところがとても現代的だなと思います。

また、そういう優しさ溢れる雰囲気が、今の時代に求められている理想のリーダー像なんだろうなと理解しましたが、チラチラ見え隠れしている本音(と思われる)の厳しい言葉の方を自分はメモしました。

「課長の時間術」

40代は大変だよ。と両親にも言われてきましたが、本当に言われたとおり、まさに働き盛り、格好よく言えば人生の盛夏のごとくフルパワー活動の毎日です。

昔から私を知っている人は、ワーカーホリックは以前からのことだから今更忙しいもないだろうと思うでしょうけど、40代になっての忙しさは、その量はもちろんのこと、忙しさの質が異なってきていると感じてます。

いや別に40代だからではないですね。求められる仕事の質が高くなってきているためにそう感じるのだろうと思います。有り難いことだと思います。

本書はそういった実感を持っている人には、手軽に、今感じている違和感を解消することができるハウツー本だとは思います。ただ実際のところ、課長の現地現場で奮闘している人は、こういう本を読む暇もないだろうと思いますし、もし貴重な時間を割いて本を読むならば、こんな簡単なハウツーではなく、漢方薬のようにジワジワと効果のある本を読むべきだと思います。

その点で気になったのは「課長の時間術」を身につけるのが「できる課長」になるためだという点。「モテたい」から「モテる技術」を身につけるというような皮相な感じを受けました。著者の方が元リクルートの方ということで、そのスタイルになんとなく納得しましたが。

これは他の本を読んでもよく書いてあることですが、30代の連続で40代は過ごせないということ。本当に質の高い仕事をするためには、これまで以上に時間を有効に使う必要があり、それを徹底して実践できる人は、職場でも家庭でもしっかりと人としての存在感を示すことができて、結果「できた課長」として認識されるということではないかと思っています。

それでも自分は人に評価されたいから仕事をしているわけではないですね。極端なことを言えば、現世利益を追求するような仕事ぶりでは、将来さらに楽しい仕事に取り組むことはできないのだろうなぁと感じています(だからといって、もちろん老後のことを考えて仕事をしているわけではない)。

本書を読んでいて自分にとってどうして時間が足りないことを問題と感じているのかを考えてみましたが、それは本当にやりたいことに行き着くためには24時間をどうしても有効に使わざるを得ないというその1点につきます。

紙の本を作る仕事をしています。電子書籍の企画をしています。ウェブメディアやパッケージメディアを作る仕事をしています。その他、財務の仕事や社員とのコミュニケーションを個別にやっていると、緊急性は高くないが重要度が極めて高いと考えている、コミュニティメディアを作る仕事になかなか行き着きません。

なぜコミュニティメディアを作る仕事を頂上に据えてやろうとしているのか、その答えは「場」をつくること。それは人が集まる広場なのですが、将来的にはそこは当社の「売り場」となるところです(集まった人にとっての素敵な「買い場」というのが本質だと思う)。

本を作る仕事も、電子書籍の企画も面白い仕事です。携われること自体大変幸せなことなのですが、さらにその先に、作った本を買ってもらえる場をつくることを考えています。やっぱり作った本がどんどん売れた爽快感を何度も味わっていたいからなんでしょうね。

そうこう考えるうちに、もはやその「場」では、本に限らず違う商品やサービスでもよいと考えるようになってきましたが、いずれにしてもそういう取り組みの先には、もの凄い肥沃な大地、豊饒の海が広がっているように感じてならないのですね。そこに行き着きたいなと。そこに行ったらみんな儲かるだろうなと。

話が大幅にそれました。この話は違うエントリーにします。

今回のハウツー本。1つこれは実践しようと思った項目。以前から考えていてきちんとやり遂げられていなかったことですが。

どんな企画書も、「45分でA4用紙1枚」にまとめる

ということです。新人に企画書のレクチャーをしているのですが、若者にありがちな時間をかけて自分の頭を捻ればいい物ができる方式の努力の仕方をみていて、どうやったら過ちに気づかせることができるだろうかと考えていましたが、そんなことを教えている暇はなかったですね。放置して自分がどんどん作るべきでした。

週初めには提出すると社員に約束していた企画3案。これから45分で作ります。

課長の時間術
課長の時間術 田中 和彦 日本実業出版社 2011-06-09
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「はじめての課長の教科書」

もう10年以上前のことですが、創業前に経営を教えてくれた社長さんが、「今また部長をやりたいんだよなぁ」と語っていたことを思い出しています。その方は、勤めていた会社が倒産して、その清算に奔走し結果的に起業された経緯の方で、当時は、すでに社長なのに面白いことを言うなぁと思って聞いてました。

私自身は仕事を手伝ってくれる後輩の社員はいましたが、部下を持つ管理職になった経験もないまま社長になってしまいました。そのために、この数年は苦労を重ねてきている気がします。以前にも起業するなら40代でという話を書きましたが、自分が今やっているような仕事は、必ずしも若さが絶対に必要なわけでもなく(いやどんな仕事でもそうだと思うけど)、40代でも何の問題もなかったなと、それこそ若気の至りだったなと思ってます。

そうやっていわば徒手空拳でやってきて、40を超えて初めて、部下を持つという意味をまともに受け止められるようになってきたように思いますが、そうなってくると、今度は大きな組織で課長のようなポジションで仕事をするとどうなんだろうと想像するようになりました。無い物ねだりですね。

もちろん課長といっても、自分の中で、その実態、実像はぼんやりとしたものです。日頃お会いする方々も、社長さんかフリーランスの方々ばかりなので、余計にそう感じるのかもしれません。昔の上司を思い返してみても大抵は今の自分よりも年下だったのでなおのこと実感がないです。

ただ、幸いなことに、最近仕事をしていて、恐らく今も勤めていたら上司や社長にあたる世代の方々とプロジェクトを一緒に企画する機会に恵まれていて、自分では勝手に皆さんを上司に置き換え自分は課長、今の事務所にいる社員はその課の部下だと思って行動しています。

そうこうしてやっていると明確に変わった点が1つあって、ここ数年ずっとご馳走してばっかりだったのですが、課長だとおもって行動してると、最近はご馳走になることの方が多くて、これは非常に面白くて勝手に楽しんでいます。

そして、少々古い本ですが、発刊されたときには「おお、上手いタイトルだなぁ」と思っていただけの本を今更ながらに読み返しています。

はじめての課長の教科書
はじめての課長の教科書 酒井穣 ディスカヴァー・トゥエンティワン 2008-02-13
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そう、これまで社長本ばかり読んでいましたが、零細企業の社長こそ、課長本を読まないといけないんじゃないのかと思ってます。でも、ちょっと物足りないかなぁ。マニュアル書然とした内容が、今ひとつ頭に入らないというか、腑に落ちないというか。

これからしばらく、課長本や関連して同年代の40代本について簡単にレビューするエントリーを連載していこうと思います。

「なぜド素人経営者の焼肉屋は繁盛したのか?」

メディア事業部を立ち上げから約半年、具体的に営業を始めて最初の四半期が過ぎようとしていますが、結果としては、予想通りの苦戦を強いられています。残念ながらまだめぼしい成果は上がっていません。

が、それもこれも想定の範囲内で、上手くいかなくなってからが本番です。人間、危機的な状況に直面しないと本気になりませんからね。などと、なぜ悠長にそんなことをブログで書いていられるかというと、原因は極めて明確にわかっているからで、顧問にもかねてより指摘されていますが、腰が重すぎ、動きが遅すぎ。具体的には、考えるという名目で答え探しを続け、結局悩んでばかりいるところに原因があると考えています。

逆に言えば、ここから先は、よしやろう!と思って、ひたすら試行錯誤を繰り返す以外には道はないわけですが、これは一方の出版事業部も同じことで、春先にあれほど危機的な状況があったにも関わらず、のど元過ぎれば何とかで、今やお昼時に悠々と茶話会を開くほどにのんびりやっています。それで今度またまた厳しい状況だ〜と言っているのだから、一体全体何やっているのかねという話です(笑)

こういった状況を客観的に見ていて、どうしてみんなそう儲からないように、苦しむようにやるのか私には不思議でしょうがないのですが、まぁそれが好きなんだろうと思って自由にやってもらっています。もっと楽に仕事をしたらいいのに。

銀行の方や参与にもよく言われますが、世の中100円で仕入れて、苦労を重ねて90円で販売しちゃう人の本当に多いこと。確かに新しい社員と話をしていても一番多い質問は、「どうやって稼げばいいのか?」という話です。なにも100円を100億にしろと言う話ではないわけで、そんなに難しい話じゃないですけどね。まずは、それを101円にするには何をしたらいいのか、それを考える習慣をキッチリつけてもらおうと考えています。

稼ぎ方が分からない、例えるとエサの取り方が分からない社員を雛鳥体質っていう言葉で表現しますが、これまでそういう社員に愛想良くたくさんエサを与え続け、結局太るだけ太って飛べずに巣から落ちちゃうことのほうが多かったので、今は稼ぎ方を教えるのには獅子の子のように先に谷底に落としていく方法に切り替えました。

と、そんなことを考えていたときに掲題の本を見つけました。タレントのたむけんこと、たむらけんじ氏の本です。手にとって一気に読み終えました。考え方の9割近くが全く同じ!こんなの始めてです。ド素人っていうところが一番ピッタリきたんだと思います。

求める人材像が書いてあっていちいちごもっともと思ったけれど、まずはやっぱりなによりも妄想力ですかね。萩原ともいつもいっているけど、どんなに苦しいときでもウハウハな状態を想像できる人はいつも儲かっている気がします。

それからスピード、たむら氏もスピード至上主義って書いてましたが、私もまったく同感。というかイライラしちゃうのも同じ。あとは、朝が早いとか、よく遊ぶとか、自己投資するとか、最近、経営のABC(当たり前のことをバカになってチャンとやる)っていうのをよく聞くんですが、まぁそれと同じですね。

メディア事業部の諸君は、第1章と第4章に目を通すと開眼することが多いんじゃないかな。というか、私の考えとまったく同じなので読んでおいて欲しいと思います。なによりこの本は面白かったので損はないと思うよ。

ともかく、せっかく一緒に商売やっていくのだからキッチリ繁盛させましょうよ。
ただそれだけで十分楽しいことだと思うんだけどねぇ。

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「仕事するのにオフィスはいらない」と思う。

この半月ぐらいずっとカバンにはいってる。何度も読み返して、すべて実践中。

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といっても、そのほとんどはすでに実践していたことなので、新しくやったことはメールをすべてブラウザとiPhoneで処理するようにしたことだけ。

特に本書でお勧めしてあったGmailのラボで「送信&アーカイブ」はすばらしく、メールに返信したらすぐにアーカイブされるので未処理メールがすぐに判別できます。こうやって常にメールボックスが空の状態になるようにしてから、精神的な重圧から解放された気がします(目に見えて”ない”というのは効果があるようだ)。

勤めだして最初にもらったNiftyServeのパソ通アカウントから、ずっと仕事でメーラを使っていたので、個人的にはこれはかなり革命的な出来事だけど、何でもっと早く切り替えなかったのか後悔しています。

でも、その他はもう10年前からやってることなので、自分にとっては、ことさら目新しいことではなかったです。サードプレイスにしても、勤めているときから、「ゲラ読む喫茶店」「企画を考える喫茶店」を用意していたので、別にフリーランスじゃなくても、ノマドできるんじゃないの?と思います。

話それますが、店によってやること決めるというのは結構効果があって、スランプに陥ったときなどは、あそこに行ったらなんとかなるみたいな、そういう使い方もしてました。個人的にはスペシャリティコーヒーの店は、若くて様になっている人たちばかりで気後れするので、落ち着かず使えません(オッサン喫茶店が落ち着くんです)。

実は会社を新宿にしたのも、そういったサードプレイスに使っている喫茶店が三丁目にあったからなんですね。いまでもよく行きます(いまは本読むところ)。

ところでこの本の読むべきところは、第2章のアテンションコントロールだと思います。はっきりいって、どんなにすばらしいツールやノウハウがあっても、集中力を持続できない人には絶対無理だと思います。ノマドワーキング。

集中力があるから仕事の成果が上がり、仕事の成果が上がるから収益もあがり、収益があがるので時間も空間も自分でコントロールすることができる、わけで、「仕事するのにオフィスはいらない」は、正確には「オフィスを持つだけの余裕があるが、わざわざ借りる必要はない」ですね。

なので、ノマドワーキングを目指す人は、最初から事務所を持つぐらいの勢いで仕事をしないと、結果的に「仕事もないしオフィスもない」になりかねないと思います。

そういった意味では、ぜひ当社の社員にも実践してもらいたいノマドワーキング。都心の便利なところにオフィスはあるけど、いつもは自由に好きなところで仕事をしてる。

そういうのっていいんじゃないかなぁ。それこそ残業なんて馬鹿らしくてやってられないと思うんだけどねぇ。

観察眼

社員のそれを急速に強化しようと思っています。

私がそれを初めて強烈に意識したのは、岡田斗司夫先生のこの本のお陰なんですよね。この本を読んでからずっと私の中では岡田先生です。

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starオタク参考文献には必須
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starオタクについて何か考えるなら、必読文献

あ、文庫になってる。というか、つい最近のことだと思ってたけどもう13年前の本だったことに軽く衝撃が・・・。

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star君もオタクだ!
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ブレードランナーやカリオストロの城のオープニングの解説を読んで、巨匠の技の素晴らしさに驚嘆するとともに、オタクの審美眼というのか、なるほど、こうやって楽しむのか!ということを知ったときに、何となく、ああ作品というのは、こうやってきちんと考えて作ってあるんだということを本当の意味で理解できた気がします。

この他、文脈で物事を考えたり、感性に訴えるもののほとんどが計算されたものだったということも、この本で知った気がします。

実は茶道もまったく同じような構造で楽しむんですが、そんなややこしいことをしなくても、いわゆるサブカルでそれが実現できる日本文化ってのは本当にすごいなと思いますね。

話がそれた。

観察眼を磨くために必要なことは、ただ一つ。ひたすら多くのものを見ること。観るために見る。かな。これに気付いてもらうための仕掛けをどんどん繰りだそうと思います。

ということで、さっさとかえってテレビぐらいちゃんと見なさいよ。と。

実務家は素直な心で本を読むべき

先日のエントリー、紹介した本の書名の間違いをコメントで指摘していただきました。ありがとうございます。

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Amazoneのレビューを読んでて、ちょっと気づいたというか、考えたことを少し。

”本”に「具体的なノウハウがない」って言う人がいるんですね。が、普通、”マニュアル”と銘打ってないものには正解なんか載ってるわけないじゃないかと思います。たとえばこの別所さんの本 にもしそれが載っていたとして、それをなぞってみたってそれは別所哲也の夢なんであって、自分の夢じゃないし。

実用的なアイデアやノウハウを たかだか800円で求めようというのもよくわかりませんが、少なくとも志もってことに望もうと思っている人間が、それを達成した人の話を聞いて得られる ものはおよそ金銭に換算できるものじゃないと思うんですよね。だから私はいい本だと思ったわけですが。

松下幸之助もいっておられますが、素直な心で物事を見られないというのは、その時点で実務家としてはもう失敗だろうと思います。お稽古でも先生の話すことを聞く姿勢や、指導を受けたときの態度についてはかなり厳しく教わっていますが、人(この場合、先生や親、上司、先輩のような先人)の言うことを素直に聞くというのは、言うことを聞いてひたすら言われた通りにするとは違うんですよね。どうしてこの人はこういうことを言っておられるのか?それを自分でよく考えろということなんですよ(きっと)。

実務家の本を実務家が読むのであれば、これはもう素直に読むしかないでしょう。きっと学校で本は疑って読めといわれたままなんでしょうね。研究者と実務家では本の読み方が違うと思います。

もし本当に実務家として精進しようと思うなら、手に取る前に(買う前に)その本の価値を見通すべく眼識を鍛えるべきだし、手にして違うと思えば静かに閉じればいいし、損したと吹聴するのは愚の骨頂です。いずれにしても実務家が儲からないどころか損してどうするのかと。

素直な心。これは本に限らないかもしれません。たとえば社長が売上が上がっていない、だからこうやって営業に行けと言ったとして、それが「社長にとって都合のいいこと」なのか、「会社の利益を考えてのこと」なのか、はたまた「自分の間違いを指摘されているのか」を見極めるためには、素直に話を聞いてよく考えなきゃだめですよ。

もし社長の都合ばかり言っているならその会社を去るべきだし、そうでなければ自分の営業を改善すべきだし、会社の利益を考えてなかったらいまからすぐに考えればいいことだし、いずれにしても自分の性格じゃないとか、何度もうるさいとか、俺は違う方法でやるんだとか、そういったねじまがった心構えでは、誰も儲からないし、自分も損しますよね。

「オタク成金」

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あかほり さとる講談社 2009-05
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これまた編集者とのエピソードが興味深い。

俺さ、ひとつだけ自慢したいことがあって。俺が何年も長く付き合ってきた編集さんは、ことごとく俺に対して文句言ったりとか叱ったりとか、ダメ出しをしてくれる・・・口の悪い、手厳しい編集さんなんだよな。逆に”先生の玉稿をいただきに・・・”みたいな編集さんは、全部避けてきたの。今は売れてても、いつか墜ちちゃうとしたら、そういうところだなっていうのが、このときにわかったんで。
本当に墜ちたときって、自分の力ではどうにもならないぜ。冷静に自分を見つめなおすことができない。どこが悪いのかわからない。
そんなときに助けてくれるのが、叱ってくれる人だから。だから作家を目指す若い人たちに、これだけは言っておきたいんだけど・・・自分のことをちゃんと叱ってくれる編集さんはいるか?そういう人と付き合ってるか?
俺、好き勝手わぁわぁやって取り巻きみたいな連中もたくさん集めたけど、売れなくなったとたん、周りにはホント誰もいなくなっちゃった。
でも、厳しいことを言う人間っていうのは、ホントに作家や作品のことを考えてくれるんで、そんなときでも・・・他の人間がバッといなくなっても、そういう編集さんは残ってくれたんだよ。
”大丈夫ですよ先生、まだやれます。一緒にやりましょう”
そう言ってくれた。どこが悪いか教えてくれって聞いたときに、言いづらいこともはっきり言ってくれた。そういう人たちを残してきたっていうのは、自慢していいと思うんだよ。

昨日もゲラに赤字を入れるのが仕事だと思っているバカ編集者が多いって話しをしたけど、仕上がった作品を滅茶苦茶にすることが厳しいことだと思ってたりするんだよね。救いようがないね。それで売れればいいけど、たいてい徒労に終わる。

編プロでデザイン会社だから、いろんな編集者の仕事を見せてもらってるけど、「三校なのにこんなに赤字入れちゃって、で、これで何冊売り上げが上がるんだ?」というものが結構あって驚きなんですよね。向こうは下請けって思っているのかもしれないけど、そう思って仕事している人って実際は下請けからは、バカ編集だなって思われてたりしますよ。

最初に作家に対して面と向かって意見を言えないのは、気が弱いからとかじゃなく、単に勉強不足、遊び不足で、語るべきものが何もないからだって思います。

君たちのいちばんのライバルはどこにいるのか?

今年は手塚治虫生誕80周年。松本清張は100周年で、ガンダムも30周年。なんだか記念事業ばかり。

もう、これからはこういった小説、マンガ、アニメの分野で、一人の作家、一つの作品で莫大な富が生まれる時代ではないということなんでしょうかね。もしくは、それほど売れる新しいコンテンツが現代には欠乏しているのか。

でも、新しいコンテンツ自体は、ネットやケータイの空間で今この瞬間もたくさん生まれ消化されていているので、それらが目に見えて収益を上げていないために、過去の遺産でもう一儲けして食いつなごうという、そういった過渡期ということでしょうか。

最近はブログに書くことが山積で、書こうと思う気持ちばかりが先走ってまったく編集ができず、相変わらずタイトルと前置きと本題がずれていますが、まぁ現状このブログはモノローグなので、それでよしということで。

手塚先生、締め切り過ぎてます! (集英社新書 490H)
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star「巨匠」手塚治虫像の再確認として

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昼に買ったのですが面白くて一気に読み終えました。昔、NHKの手塚治虫追跡ドキュメンタリーで、その驚異的な制作活動をみたことがあります。よく漫画家の仕事は大変だ聞きますが、手塚治虫の仕事は、もはや修行僧のそれに近い過酷さで、ただひたすら息をのんで見た記憶があります。

著者は、手塚治虫の担当編集者からアシスタントになり、三十数年そばでその仕事を見てきた漫画家で(私は知りませんでした)、様々な”伝説”が読みやすくまとまっています。もはや単純に仕事に活かせるとか、そういうレベルではありませんが、その中に手塚治虫が、採用したアシスタントに訓示する場面が印象に残ったのでメモ。

「君たちは、かつて地方にいて漫画家を志し、そして今こうしてここにいるわけだが、実際に原稿をやりとりする制作の流れに身を置いていると、いつのまにかに自分もその世界のひとりとして安住してしまう。絶対にそれだけは避けてほしい。君たちのいちばんのライバルは、地方で漫画家の世界に憧れて頑張っている、漫画家予備軍なんだ」

この言葉、もちろんそっくりそのまま、来月にも”病気”が発症しそうな、全国の「ボクはクリエイティブな世界を志して会社に入ったのに・・・」というシュガーな新人たちに役立つ言葉だと思いますが、私にもガツンときました。

ウェブメディアを通して出版を実現したいという志で起業してこの方、幸い潰れることなく経営を続けていますが、ようやく人や機会に恵まれきて、それをもう少しで実現していけるというこのところ、目前の仕事(メディア制作進行と称した作業)に流されてるところがなきにしもあらず。

もちろん、実際のところ、あれやこれや難関が立ちふさがっているのですが、今このときも、日本のどこかにいる誰かが、人知れずすごいメディアを作ろうと頑張っていて、「あんたのやっていることは古いよ」と言われないかと焦ります。つい最近、寺内に、それはホリエモン病だよと言ったばかりですが(笑)

その寺内と昨日の昼に、やっぱライバルは必要だ、という話をしてました。寺内曰く、会社でも日頃は和やかに話してても心の底では(ぜったいコイツには負けないぞ)と思う相手がいたから頑張れたと。お互い同じ編集者だったから余計にそうだったのかもしれないけど。

自分の場合は、もちろん同僚に負けたくないというのもあったけど、どちらかというと、上司に対してコイツに絶対に勝ってやると思ってましたね。

あ、そこ笑わないように(笑)>萩原さん、寺内さん

「ウェブはバカと暇人のもの」

この本についても触れていかなければならないかな。

ウェブはバカと暇人のもの
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おすすめ平均star
starIT小作農からの一家言
star「ネットで話題」を巻き起こすためのハウツーあり

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冒頭で著者は「運営当事者」側の河野さんの意見として口コミ本を引用しておられるが、日頃から河野さんの薫陶を受けている私も全く同感です。引用を引用します。

「インターネット万能論を多くの人が唱えています。はっきり言います。そんなのは夢物語です。ウソといってもいい」
「通常、ネットの一部で話題になっているだけでは世間的な影響は全くありません」

そんなんじゃクチコミしないよ。 <ネットだけでブームは作れない!新ネットマーケティング読本> そんなんじゃクチコミしないよ。
河野 武

ただ「結局、B級ネタがクリックされる」として、「まずネットでは、タイトルが重要なのである。」というのだけど、「ウホッ」っていうような、バカなタイトルで釣っているのだから、バカや暇人が集まるのは当たり前じゃない?というのが率直な感想。

だったんだけど、読み進めるうちに、そういうのを後から言うのは簡単で、それで分かったつもりになるのは非常に危険かもしれないと感じてきた。

「新世紀メディア論」でも究極、「編集バカ」みたいなやつがバカみたいにやっているメディアしか成功しないと言っているのだと理解しているんだけど、この本を単に読んだ人間が「だからネットはバカや暇人の集まりだ」といったところで、真剣にバカやってきた中川氏の論じている「バカと暇人」の真意にたどり着けないかもしれない。と(深読みしすぎかな)。

まぁ、PV上げるのがミッションでタイトル付けするメディアを作ったらバカや暇人しか集まらないんじゃない?っていう疑念は完全には払拭できていないけれど。だからといって品格や質の問題でもなかろうと、このあたりまだモヤモヤしています。

あと、確かにテレビは依然として強力なメディアだけれども、つい数年前、実家で親父と「新聞いる・いらない」論争でかなり熱くやりあっていたのが、去年あたりから「やっぱりおまえの言うとおりだった。最近の新聞はつまらん」と、70にならんとするじいさんが、あっさり新聞購読を一切やめたぐらいだから、もしかするとあっという間に「あれ、テレビっていらないんじゃない?」って時がくるんじゃないかとも思います。

メディアは実践するものだっていうのは、この半年自分でブログやって、編集もやって分かったこと。そういう視点でこの本もメモ作ってみようと思います。