君たちのいちばんのライバルはどこにいるのか?

今年は手塚治虫生誕80周年。松本清張は100周年で、ガンダムも30周年。なんだか記念事業ばかり。

もう、これからはこういった小説、マンガ、アニメの分野で、一人の作家、一つの作品で莫大な富が生まれる時代ではないということなんでしょうかね。もしくは、それほど売れる新しいコンテンツが現代には欠乏しているのか。

でも、新しいコンテンツ自体は、ネットやケータイの空間で今この瞬間もたくさん生まれ消化されていているので、それらが目に見えて収益を上げていないために、過去の遺産でもう一儲けして食いつなごうという、そういった過渡期ということでしょうか。

最近はブログに書くことが山積で、書こうと思う気持ちばかりが先走ってまったく編集ができず、相変わらずタイトルと前置きと本題がずれていますが、まぁ現状このブログはモノローグなので、それでよしということで。

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star「巨匠」手塚治虫像の再確認として

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昼に買ったのですが面白くて一気に読み終えました。昔、NHKの手塚治虫追跡ドキュメンタリーで、その驚異的な制作活動をみたことがあります。よく漫画家の仕事は大変だ聞きますが、手塚治虫の仕事は、もはや修行僧のそれに近い過酷さで、ただひたすら息をのんで見た記憶があります。

著者は、手塚治虫の担当編集者からアシスタントになり、三十数年そばでその仕事を見てきた漫画家で(私は知りませんでした)、様々な”伝説”が読みやすくまとまっています。もはや単純に仕事に活かせるとか、そういうレベルではありませんが、その中に手塚治虫が、採用したアシスタントに訓示する場面が印象に残ったのでメモ。

「君たちは、かつて地方にいて漫画家を志し、そして今こうしてここにいるわけだが、実際に原稿をやりとりする制作の流れに身を置いていると、いつのまにかに自分もその世界のひとりとして安住してしまう。絶対にそれだけは避けてほしい。君たちのいちばんのライバルは、地方で漫画家の世界に憧れて頑張っている、漫画家予備軍なんだ」

この言葉、もちろんそっくりそのまま、来月にも”病気”が発症しそうな、全国の「ボクはクリエイティブな世界を志して会社に入ったのに・・・」というシュガーな新人たちに役立つ言葉だと思いますが、私にもガツンときました。

ウェブメディアを通して出版を実現したいという志で起業してこの方、幸い潰れることなく経営を続けていますが、ようやく人や機会に恵まれきて、それをもう少しで実現していけるというこのところ、目前の仕事(メディア制作進行と称した作業)に流されてるところがなきにしもあらず。

もちろん、実際のところ、あれやこれや難関が立ちふさがっているのですが、今このときも、日本のどこかにいる誰かが、人知れずすごいメディアを作ろうと頑張っていて、「あんたのやっていることは古いよ」と言われないかと焦ります。つい最近、寺内に、それはホリエモン病だよと言ったばかりですが(笑)

その寺内と昨日の昼に、やっぱライバルは必要だ、という話をしてました。寺内曰く、会社でも日頃は和やかに話してても心の底では(ぜったいコイツには負けないぞ)と思う相手がいたから頑張れたと。お互い同じ編集者だったから余計にそうだったのかもしれないけど。

自分の場合は、もちろん同僚に負けたくないというのもあったけど、どちらかというと、上司に対してコイツに絶対に勝ってやると思ってましたね。

あ、そこ笑わないように(笑)>萩原さん、寺内さん

「ウェブはバカと暇人のもの」

この本についても触れていかなければならないかな。

ウェブはバカと暇人のもの
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starIT小作農からの一家言
star「ネットで話題」を巻き起こすためのハウツーあり

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冒頭で著者は「運営当事者」側の河野さんの意見として口コミ本を引用しておられるが、日頃から河野さんの薫陶を受けている私も全く同感です。引用を引用します。

「インターネット万能論を多くの人が唱えています。はっきり言います。そんなのは夢物語です。ウソといってもいい」
「通常、ネットの一部で話題になっているだけでは世間的な影響は全くありません」

そんなんじゃクチコミしないよ。 <ネットだけでブームは作れない!新ネットマーケティング読本> そんなんじゃクチコミしないよ。
河野 武

ただ「結局、B級ネタがクリックされる」として、「まずネットでは、タイトルが重要なのである。」というのだけど、「ウホッ」っていうような、バカなタイトルで釣っているのだから、バカや暇人が集まるのは当たり前じゃない?というのが率直な感想。

だったんだけど、読み進めるうちに、そういうのを後から言うのは簡単で、それで分かったつもりになるのは非常に危険かもしれないと感じてきた。

「新世紀メディア論」でも究極、「編集バカ」みたいなやつがバカみたいにやっているメディアしか成功しないと言っているのだと理解しているんだけど、この本を単に読んだ人間が「だからネットはバカや暇人の集まりだ」といったところで、真剣にバカやってきた中川氏の論じている「バカと暇人」の真意にたどり着けないかもしれない。と(深読みしすぎかな)。

まぁ、PV上げるのがミッションでタイトル付けするメディアを作ったらバカや暇人しか集まらないんじゃない?っていう疑念は完全には払拭できていないけれど。だからといって品格や質の問題でもなかろうと、このあたりまだモヤモヤしています。

あと、確かにテレビは依然として強力なメディアだけれども、つい数年前、実家で親父と「新聞いる・いらない」論争でかなり熱くやりあっていたのが、去年あたりから「やっぱりおまえの言うとおりだった。最近の新聞はつまらん」と、70にならんとするじいさんが、あっさり新聞購読を一切やめたぐらいだから、もしかするとあっという間に「あれ、テレビっていらないんじゃない?」って時がくるんじゃないかとも思います。

メディアは実践するものだっていうのは、この半年自分でブログやって、編集もやって分かったこと。そういう視点でこの本もメモ作ってみようと思います。

松本清張生誕100年

スカパーの日本映画専門チャンネルで松本清張特集やっています。HD放送で、未ビデオ化作品も放映とあって、とりあえず全部チェックしてます。古いドラマは、重厚なドラマを楽しめるだけでなく、昭和30年代当時の習俗を知る意味でも面白みがあります。

危険な女」は原作の「地方紙を買う女」がすごく良いのですが(宮部みゆき選の短編集がお買い得でおおすすめ)、芦田伸介があまりに若くてそっちの方が驚きでした。「けものみち」はちょっと前に米倉涼子が主演して評判になりましたけど、池内淳子主演の映画のほうも全く古さを感じさせないというか、どちらかというとこちらの方がかなり色気があると思います。「点と線」も、最近たけしが主演でテレビでやってますが、あれは余計な(というか意味ない)戦争体験のエピソードなんか付け加えて最悪でしたが、これも1958年版のほうが圧倒的に出来がいいと思います。

今回ヒットだったのは「黒い画集 あるサラリーマンの証言」。半世紀前の40代ってのはいまの50代後半ぐらいの精神年齢なんだなと、昔が老けていたのか、今が幼いのか、同じ国とは思えない感じです。

ということで、今年は松本清張生誕100年。

週末、自宅の近所にある世田谷文学館の清張展にもいってきました。本関係の仕事をしていますが、はっきりってブンガクには興味はないです(つまらない)。ただ、近代作家の書斎や生原稿は非常に興味があって、たまに足を運びます。去年も宮脇俊三展などはよかったです(この人は有名な編集者でもあるし)。

当時の作家の知的生産の現場を見るというのは非常に面白いですね。どうやって取材メモをとっていたのかとか、どういうペンを使っていたのかとか。ちなみに清張については、小倉にある清張記念館には高井戸にあった清張の書斎をそっくりそのまま移築してあって、これは見応えというか迫力があります。

1970〜80年代ぐらいの書斎って、じいさんの書斎という感じで、使われている文房具など見ているとなんだか懐かしいのですが、現代は書斎って実空間的にはもうほとんど存在しなくって(書斎を持とうなんて思う人少ないと思うけどどうなんだろう)、実際優れた人ほど知的生産はノートパソコン1台だったりするわけで、将来記念館作っても見栄えがしないだろうなぁ、なんて思いました。

松本清張傑作短篇コレクション〈上〉 (文春文庫)
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star巨匠を知るのにオススメ。純文学にミステリーに現代史
starこの本の存在を知らなかった
starドラマのもやもやは解消されなかったけれど

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「空飛ぶタイヤ」

wowowの連続ドラマW。第3弾にして頑張ってると思います。

最初、タイトルだけ横目でみて、また期待薄だなと思っていたら(第1弾、2弾とも残念だったので)、結構しっかりした作りの社会派企業ドラマでした。日本のHD放送のドラマは映像がピカピカしすぎて目が痛いのですが、これも落ち着いた映像で好きな感じです。

原作小説があるらしいのですが読んでません。原案は、どうみても三菱ふそうのトラック脱輪事故なので、こういうドラマは地上派では無理でしょうね。そういう意味でもwowowオリジナルでやる価値が高いんじゃないでしょうか。こういうのをもっとどんどん作って欲しいです。

しかし、タイトルが失敗していると思いました。「脱輪」とか「隠蔽工作」とか「リコール」とか、それこそ第1弾、2弾のようなストレートで堅めのタイトルのほうが良かったんじゃないかなぁ。「空飛ぶ」って、なんとなくメルヘンチックな感じがします。それに、なんとなく被害者をないがしろにした表現のような気も。自分だけか。

リコール隠しで、事故原因を運送会社の車両不良にしようとする大企業自動車メーカーと、事故で主要取引先から取引停止を次々に宣告され、必死になって対応する中小企業の運送会社社長。当然後者にシンパシーを感じつつ見ているわけですが、大きな組織で働く(というか政治活動している)社員の気持ちも理解できるしで、まぁいろいろ考えさえてくれるいいドラマだと思います。

つい最近も銀行を回ってきたので、資金繰りに奔走する仲村トオル演じる赤松社長を見ていると、同年配だし人ごとじゃありません。超リアルです。その赤松社長夫人役の戸田菜穂さん。彼女は最近奥さん役が多い気がするのですが、いい感じ。

空飛ぶタイヤ

【読んだ】「検索は、するな」

検索は、するな。安田 佳生

サンマーク出版

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さっき萩原から見本をもらいました。彼の最新の仕事(カバーデザイン)です。
安田社長の本は全部買っていますが、まさか見本誌で読めるとは。

あぁ、紙もデザインもやりたい放題?(笑)

見てると最近また新規取引先が増えています。売れっ子っていうのは、やっぱりほっといても客がどんどんやってきますね。他の社員も見習って売れっ子になってください。

以上、この記事は半分は自社宣伝でした。