いろんなタイミングでいろんな本に出会いますね。たぶん、絶好調なときだったら店頭で目にしてパラパラ立ち読みはしても購読しなかっただろうと思います。帯に渡邉美樹さんの写真があったので、またぞろ軽い自己啓発書かと思って見過ごしていたんですが、これは現代版ナポレオン・ヒル物語というコンセプトで書かれたものだそうで、あの「思考は現実化する」の執筆開始100年を期して新しく企画されたもののようです。この手の本の常套句として、全米でベストセラーとか書いてありますが本当かどうか知りません。

私自身は読んでなるほどとかなり参考になりましたが、こういった本はあまり人には薦めたくありません。というのも、特に何事も成してない人が読んだところで、それで多少の元気はつくのかも知れませんが、結局何事も成さないまま終わって、「なんだ良いって言ったのに嘘じゃないか」で終わってしまうと思うので。つまり実行しなかったら何も実現しないという当たり前の話ですけど。

なので書名もリンクも貼りませんが、ある程度いろんなことをやってきて実績を積んでいると思う人ならば、読み進めるうちに気づきを得る言葉に出会えるんじゃないかと思います。ビジネス小説ですが、物事の捉え方、考え方の「型」を提供してくれる哲学書でもあると思います。成功哲学ってなんだか陳腐な言葉で好きじゃありませんが。

この直前のエントリーを読んで貰うとわかりますが、割と重大な決断を下したわけですけど、そりゃ単純に残念だし、大変に申し訳ないことだとは思います。もともと自分の力ではどうしようもない現実もあり限界を感じての判断ではありますが、それでもそこで落ち込んでふさぎ込んでいるわけでもないのは、そうやって物事の捉え方の型をある程度学んでこれたからかなと思います。だからこそ冷静に判断できたとも思います。

個人的な見通しとしてですけど、夏前ぐらいから震災で混乱し縮小した経済の余波じわじわと効いてくるんだと思ってます。実際に年度始まりが実質的に6月になるという話を耳にしましたし、今年度の事業計画を立て直しという話も聞きました。今は緊急時で頑張ろうという掛け声でなんとか支えられたとしても、実質的に資金が詰まるようなことがあれば、途端に雰囲気が変わると思うんですよね。そもそも国にしたって震災が来る前から破綻しそうだといわれてたわけで。

いずれにしても何をどう考えたとしても一度縮小しなければやっていけないのは間違いないので、そこで徒手空拳のごとく走り回っていても徒労に終わる。徒労に終わって破綻したらそれこそ目も当てられない。そんな無駄な動きを取って消耗するよりは、これを好機に(なぜならみんな危機なんだから)ここはもう先がないというところはスッパリと諦め撤退することにしました。

あんまりブログに内容を書けませんが、いろんな意味で「得事則失」を徹底的に実施中です。そうやって方針が定まれば、あとは簡単なことです。暫く凌げば当然、復興や社会的な転換の兆しが見えてきて好転するだろうと、そっちの波に軽々乗れるように今からは新たな準備期間と定めました。あ、これまでの話は今まで自分が携わってきた業態的にという話なので、他の業界や業態のことは知りません、わかりませんので悪しからず。

と、長い前置きはここまでにして、私と萩原はこれまで準備してきている仕事を止めずに、また方向性もまったく変更無く、この先も着実に創業来の理念のもと”新しい出版の形”を提示すべく仕事を続けていく予定です。すでにちょっと前からその新しい、それでいてなかなか難しい仕事のオファーを頂いていたので、この際これを腰を据えて形にしていこうと思ってます。

それからようやくタイトルの本題ですが、いま真に金鉱まで残り3フィートなのはSEIHAです。特に攻城団については、今月末にも限定的なオープンを行う予定です。これは関係者の知人(基本的にリアルに会って信頼の置ける人)にのみ公開して、お披露目とともにご意見を伺いたいというものです。この限定オープン時に、全機能版の一般公開日も同時に公表します。

今回、出直しと決定せざるを得なかった要因は大きく2つあるのですが、その一つは、このSEIHAの膨大にふくれあがった開発費です。すでに、なぜこれが膨大なものになっていったのか、理由は明白になっていて(それはもう一つの理由とも合致するのだが)、この点、その対策の結果として徳永くんの尽力でようやく日の目をみる時がやってきました。

プロジェクトを今後どういう形にするのかはこれから詰めますが、SEIHAプロジェクト自体は河野さんとも継続していきます。そもそも、このプロジェクトで目指していたことは今回の震災の復興に繫がる文脈があると私自身は考えています。なので、やりかけてたから辞めないとか、ここまでやったから完成させるとか、そういった後ろ向きな考えではなく、必要になると信じての継続です。

そういったきちんと考えているという部分も含めて、行動として表していかないといけないということで、これは元々オープン直前の企画として考えていたことなのですが、今週末にもSEIHAチームを中心に、ドライブしながら城巡りをして写真を撮って、実際に攻城団を使ってみることにしました。行き先ももう決まっています。

本来だと華々しいローンチが求められるタイミングなのかもしれませんが、例え地味な始まりであっても、あ、こういう視点があったのか、とか、ん、ちょっと使ってみようかな、というような、そういう自然で落ち着いた、無理なく人の気持ちを動かすようなサービス開始でいいのではと思っていますし、「攻城団」自体は、それをなし得るポテンシャルを持っているサイトだと考えています。

また、今後SEIHAプロジェクトやメディア事業部で作っていくサイト自体が、そういう自然な魅力を体現し提供できるほどの内容に作り上げて行かなければならないと考えています。やっぱり、どこまで行っても自分にとっては本屋で見つける良い本のようなイメージで、自然にそういったコンテンツサイトに出会えるように企画していきたいなぁと思っています。

ビジネスの成功という点では金鉱堀りという表現は分かりやすいですが、私としては、SEIHAやウェブメディアを作る仕事というのは、新しい土地を開拓しているようなイメージが近いですね。そして、なんとかその開墾を成功させたいと思います。

かつて堺屋太一氏が復帰直後の沖縄で海洋博を企画したときに、時の佐藤総理にどうやったら沖縄振興は成功なのですか?と尋ねると、それは人口が減らなかったら成功だと答えたそうです。人はいろいろなことを言っても、そこで住み続けるのであればそれはそれで満足なのだと。結果は減るどころかさらに増えました。今回、会社としても縮小し、新しい取り組みのSEIHAとしてもまさにゼロスタートですが、ここから増やすという方向で動いて行こうと思います。