SEIHAプロジェクトが実現するサービスの本質ですが、私自身は新しい出版の形を実現したいという思いがあるということは何度か書きました。でもそれは個人的な思い入れで、サービスユーザーにとって、ほとんど意味のないことだと思っています。ほんとうの意味でSEIHAがスタートして世の中にどういう貢献ができるのか?そこにある思いはひとつです。

多くの人にもっと各地方に足を運んでもらいたい。

あ、地方という言い方も適切じゃないかもしれません。言いたいことは東京の時代は終わったのかなということ(街に魅力がなくなったという意味ではなく)。東京一極集中という考え方が、これからネットの時代が進むにつれてさらに合わなくなっていくのではないかと感じています。

限界集落という言葉がありますが、過疎の問題なんて私が小学校のころから言われていることですから、これは間違いなく中央一極集中のシステム(中央によるいろいろな延命措置)が招いている結果的な問題じゃないかと思いますね。話がそれました。

で、単純に都市と田舎という構造が壊れることを望んでいるわけではなく、逆にもっと田舎を田舎として大切にするためにも、地域ごとに都市に人口を集中させ、近郊とのバランスがとれるような、そういった国土に再編していくべきではないのかと感じています。

これを地方分権などというと政治的な話になりますが、ネットに親和性の高い若い世代の方々が、それこそ今の大河ドラマの坂本龍馬のごとく、日本各地に旅にでるようになって見聞を深めれば、新しい動きが生まれるのではないかと期待しています。

ウェブサービスを提供することで、何が便利になって、どう楽しくなるのか、その本質をきちんと押さえて置かなければ、闇雲にアクセス数を稼いで、それがいくらになるというような単純計算では、この先長く残っていくサービスにはなり得ないと考えています。SEIHAがそういった旅の動機付けのひとつとして、新しい人の流れを作る一助となるようなサービスになれればと考えています。

このように、実際的に人びと動きを作るということで(観光という意味でも)、実生活に具体的な影響を与える導線の一つになりたいと考えてSEIHAのサービスを開発していますが、今回その最初のテーマをお城と据えた河野さんの先見の明に改めて感服しています。

私自身は、出版というテーマと、もともと国史学専攻だったということも(研究職は挫折したけど)今回の企画提案に即断即決した理由ではあるのですが、どうして日本全国にお城がこんなにあるのか?ということを考えてみたら、一極集中になる以前の日本の歴史に触れることになるわけで、自ずと東京対地方という対立構造ではない、新たな関係性が見えてくるのではないでしょうか(あ、単純に江戸の昔に戻ればいいというような無責任なエコアイデアには反対です)。

観光は、これからの日本にとっても重要な課題となる分野だと思います。これからの日本の課題に多少なりとも貢献できる今回の企画、全力で取り組む価値があると考えています。かつ、このテーマ絶対は、グローバル展開に繋げたいと思います。