今年は手塚治虫生誕80周年。松本清張は100周年で、ガンダムも30周年。なんだか記念事業ばかり。

もう、これからはこういった小説、マンガ、アニメの分野で、一人の作家、一つの作品で莫大な富が生まれる時代ではないということなんでしょうかね。もしくは、それほど売れる新しいコンテンツが現代には欠乏しているのか。

でも、新しいコンテンツ自体は、ネットやケータイの空間で今この瞬間もたくさん生まれ消化されていているので、それらが目に見えて収益を上げていないために、過去の遺産でもう一儲けして食いつなごうという、そういった過渡期ということでしょうか。

最近はブログに書くことが山積で、書こうと思う気持ちばかりが先走ってまったく編集ができず、相変わらずタイトルと前置きと本題がずれていますが、まぁ現状このブログはモノローグなので、それでよしということで。

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手塚先生、締め切り過ぎてます! (集英社新書 490H) 福元 一義集英社 2009-04-17
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star「巨匠」手塚治虫像の再確認として

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昼に買ったのですが面白くて一気に読み終えました。昔、NHKの手塚治虫追跡ドキュメンタリーで、その驚異的な制作活動をみたことがあります。よく漫画家の仕事は大変だ聞きますが、手塚治虫の仕事は、もはや修行僧のそれに近い過酷さで、ただひたすら息をのんで見た記憶があります。

著者は、手塚治虫の担当編集者からアシスタントになり、三十数年そばでその仕事を見てきた漫画家で(私は知りませんでした)、様々な”伝説”が読みやすくまとまっています。もはや単純に仕事に活かせるとか、そういうレベルではありませんが、その中に手塚治虫が、採用したアシスタントに訓示する場面が印象に残ったのでメモ。

「君たちは、かつて地方にいて漫画家を志し、そして今こうしてここにいるわけだが、実際に原稿をやりとりする制作の流れに身を置いていると、いつのまにかに自分もその世界のひとりとして安住してしまう。絶対にそれだけは避けてほしい。君たちのいちばんのライバルは、地方で漫画家の世界に憧れて頑張っている、漫画家予備軍なんだ」

この言葉、もちろんそっくりそのまま、来月にも”病気”が発症しそうな、全国の「ボクはクリエイティブな世界を志して会社に入ったのに・・・」というシュガーな新人たちに役立つ言葉だと思いますが、私にもガツンときました。

ウェブメディアを通して出版を実現したいという志で起業してこの方、幸い潰れることなく経営を続けていますが、ようやく人や機会に恵まれきて、それをもう少しで実現していけるというこのところ、目前の仕事(メディア制作進行と称した作業)に流されてるところがなきにしもあらず。

もちろん、実際のところ、あれやこれや難関が立ちふさがっているのですが、今このときも、日本のどこかにいる誰かが、人知れずすごいメディアを作ろうと頑張っていて、「あんたのやっていることは古いよ」と言われないかと焦ります。つい最近、寺内に、それはホリエモン病だよと言ったばかりですが(笑)

その寺内と昨日の昼に、やっぱライバルは必要だ、という話をしてました。寺内曰く、会社でも日頃は和やかに話してても心の底では(ぜったいコイツには負けないぞ)と思う相手がいたから頑張れたと。お互い同じ編集者だったから余計にそうだったのかもしれないけど。

自分の場合は、もちろん同僚に負けたくないというのもあったけど、どちらかというと、上司に対してコイツに絶対に勝ってやると思ってましたね。

あ、そこ笑わないように(笑)>萩原さん、寺内さん