もう10数年前のことです。取締役として入社希望の版元編集者の方がいました。後日、進む道が違うということで短い期間で退任されましたが、とても優秀な方だったので、今振り返っても彼がいなかったらあれもこれもできてなかったなと思い返すような存在でした。

その彼からあるとき「香月さん、意外に小心者ですね」とズバリ言われたことがありました。当時から小心なぐらいが会社を潰さなくていいぐらいに思っていたのと、切れ者の彼に気持ちよく切り捨てられて悪い気はまったくせず、以来ずっと自分は小心者と自覚してやってきました。もっとも最近になって小心というよりも心配性で、これが父親譲りだということに気づきましたが。

そんな小心で心配性だからこそ、うまくやってこれた点はあると思いますが、それによって踏み込めずに突き進めなかったことも多々ありました(あったはず)。そして、いま現場を任せ、社員の育成に取り組むということを真剣に実践しはじめて、再びこの小心と心配性の克服という課題に直面しています。

小心で心配性なので、事態がスムーズに進まない様子をみていると、早くこうしないと!それ違う!と、口を挟みたくなるんですね。ほんとうはそこで壁にぶち当たったところで手助けしてあげなければいけないのですが、事前にスムーズにことが運ばないことに堪えられないわけです。

実際にこれまではそのような取り組みで、結果的に成長の芽を摘み取ることになっていたと思います。確かにそのプロジェクトはそれでうまくいったとしても、任されていた方は面白くありませんよね。これじゃあ会社も大きく成長しません。

カウンセラーに相談したところ、任せ方が下手だと指摘されました。これも以前からいろんな人に指摘されていていることですが、高い目標をスムーズな計画実行で進めないと気が済まない完璧主義と現場の現状力量の見極め不足です。そして、このことによって勝手に一人焦っているとも指摘されました。

戦略と実行を頭で追求し過ぎている頭でっかちなのだと思います。見事なほどに策士策に溺れる状態です。「任せる勇気を持たないとね」としみじみ言われましたが、今度という今度はこの小心と心配性を捨て、しっかりと人に仕事を任せていくと決意しています。