出張で京都に泊まったときは、翌日の新幹線を午後にして、寺社仏閣に立ち寄って帰るようにしてました。

ただ何度かやっているうち、あまりに貧しいなと思えてきて、もう仕事のついでで寺社仏閣へ行くのは止め、代わりにわざわざ京都に行ってまで行かないようなところにしようと、今回は京都駅前のPHP社にある松下幸之助記念館と、新しくできた、やはり駅近くにある京都鉄道博物館に行くことにしました。

もともと記念館の方で資料を漁ろうと思って、博物館の方はネットニュースでちらっと見ただけで詳細を調べてなかったのですが、現地についてここがあの梅小路蒸気機関車庫であることに気づきました。

小学生のときに図鑑で見て以来、いつかは行ってみたいリストに載せたまま自分でもすっかりその存在を忘れていたので、感激のあまりすっかりはまって幸之助記念館はほんの少ししか立ち寄れず、危うく新幹線にも乗りそこねるところでした。

小学生のときに写真でみたときには大迫力だったけど。いまはそれほどでも。

いまや機関車より建物の方に興味があって、これとても100年前のものとは思えない。鉄道コンクリート建築物で最古のものだそうです。

排煙装置がついてます。これを真下から覗いてみたかった。穴が空いているだけですが。

結局、今に至るまで走っている蒸気機関車に乗ったことはありませんが、博物館で見慣れているのでこちらはもう感動が薄い。

大正昭和初期の建物が好きで巡っていますが、保存されていたり再建されていたりとそのままのものが少ないので、ここはある意味現役で別格ですね。

実はこれほどまでにここで感慨にふけっていたのは、つい最近AmazonPrimeで「大いなる旅路」という映画を見たためでした。

映画の解説は上手くできないので、詳細はAmazonのページを参照して欲しいですがレビューも絶賛の嵐ですね。戦前、戦中、戦後を通じて変わらぬ男の仕事と、時代に翻弄され大きく変わる家族とその幸せといったストーリーで、本物の機関車を転覆させていたり、結構古い邦画を見ていたつもりですが、まだこういう名作があったのかと、まさにこの機関車庫はその映画の舞台のようでした。

加えて博物館で続編的な映画があることも知り帰ってすぐに見ました。モノクロ・カラーの違いもありますが同じ年の映画なのにこちらは随分軽薄な印象で、そのあたり時代の変遷も知れて面白いですが、「大いなる旅路」は帰ってからもう一度見ましたが、こちらは1回で十分です。

この他、関連お薦めアイテム2つ。

この新幹線大爆破もPrimeに出ていますね。何年か前にネットで知る人ぞ知る名作と知ってDVD買いました。これと「砂の器」をたまにBGV代わりに流していると、次男が「また観てる。これもう3回観た」などと言ってくるやつです。

「大いなる旅路」では若い高倉健(とても若い!)が、次男の役で運転士となって特急こだま号を運転しているのですが、その十数年後に、今度は新幹線爆破しようとしていたのか、と思うとなかなか味わい深いです。

もう1点は書籍です。分厚いのでまだ読みかけです。


国鉄改革のときに何があったのかが克明に描かれています。「大いなる旅路」でも、戦中の軍歌が戦後になって労働歌になって、デモしている職員を横目に黙々と働く様子が描かれていますが、その成れの果てがこれかと。JRになったときは高校生で物心ついたときにはストなどは沈静化していたように思いますが、あれじゃあ解体されて当然だろうなと思いました。

それにしても「大いなる旅路」で、機関士が男の一生の仕事と描かれていたころから80年ぐらい。平成も間もなく終わりですが、もはや男のロマンみたいなものはカケラもありませんね。どこにいったのでしょうか。