ノートの取り方

いま出版求人NEWSの新コンテンツの1つとして、売れる編集者へのインタビュー企画を進めているのですが、4月新人の高橋、中島の2名にさっそく取材を任せて、すでに2件終了しました。で、現時点での反省点についてメールで報告があって、なかなか立派な心がけです。

• ほとんどノートを取ることができなかった。
相手のはなしを聞きつつ、ノートを撮ることが難しくあまりノートを取ることができなかった。そのため、テープ起こしも時間がかかってしまう。今後はインタビューの回数を重ねるごとに、上手くノートを取れる方法を探り、テープ起こしの時間の短縮ができるようにしたい。

取材ライターの経験はないので、あくまでも我流ですけど、インタビューに限らず、人からレクチャーを受けたり、ややこしい交渉事などの各種打合せに効力を発揮するノートの取り方があります。

それは、自分がしゃべったことを書く、です。

これは、最初に誰かに教えてもらったことではなく、ひたすら自力で打合せをこなしているうちに身についた技なんですが、数年前に何かの本を読んだときに同じことが書いてあって、あ、間違っていなかったんだと、以後は自信をもっておすすめしてます。

自分がしゃべったことを書く、つまり相手が話したことを「ということですか」と口頭で再確認したことを書くわけです。こうすれば、相手の話はきちんと目を見て聞けますし、自分がしゃべった後なので、ノートに書くタイミングを自分でコントロールできます。さらに、自分の言葉で書いているので、その場ですでに編集していて一石二鳥。

聞きながら書き取るのはほとんど不可能というか、基本的に失礼だと思うし、それだと学校の授業で黒板を書き写すのと同じくらい無駄な作業だと思っています。やってみるとわかりますが、話しながら書くのって結構簡単で、そのときに書いたキーワードは、打合せ時の熱がこもった言葉だったり、大事な約束事だったり、後から読み返して役立つことがたくさんあります。

この手法は本当にいろいろな効能があるのですが、例えば話をしていてまったくノートを取らずにすむ人もいて、打合せが盛り上がる人に多いのですが、実は中身がない人だったんだと後で分かったりもします。

ヘタレ採用のドヘタ経営だった

ちょっと前に吉村がブックデザイン担当した本です。新卒採用戦略についてのノウハウ本なので、会社を大きくしたいと考えている経営者以外は読む必要はないと思います。もちろん私は読みました。

ヘタレ採用 ドヘタ経営―採用の常識は営業の非常識
ヘタレ採用 ドヘタ経営―採用の常識は営業の非常識

ヘタレ採用を続けていれば、いずれ会社が潰れます。という帯コピーがついているのですが、痛感してます。まさにこれまでの自分は、このヘタレ採用を続けてきたなと。せっかく入ってもらった社員の中には、苦労ばかりかけた人もいて、その人の良さを活かしきれずにいたという強烈な反省点に基づいて、次の採用、つまり会社をどう発展させていくために、どういう人に入社してもらうのかということについては、きちんと語っていかなければと思っています。

ここ数ヶ月厳しい改革を断行した結果、所帯をかなり小さくした編集部門ですが、これを契機に当面、紙の編集者は採用を辞めることにしました。そして、すでに会社を創業してから、PC書の編プロからブックデザイン会社という位置づけに切り替えてきているのですが、さらにここにきてもう一つ大きく舵を切ることにしました。

いや、舵を切るという表現は不適切ですね。ブックデザイン、つまり売れる本作りのトータルサポート事業は今後も拡大させていく考えです。ただ、こちらの経営のかなりの部分を萩原にやってもらい、私は、これからはウェブメディアの編集者をどんどん集めていこうと考えています。

先週、河野さんとこのあたりのことを話をしていて、戦略も全部組み替えて進むべき道はかなりクリアになってきました。が、こういうことに正解はないので、完全な答えを出す前に走りはじめて、間違ったと思ったらすぐに舵を切りなおして進んでいくつもりです。

あらかじめはっきり宣言しておきたいことは、これは零細企業の第2創業といったような半端なスローガンで終わらせるつもりのものではなく、もう一つ別の会社をゼロから作る作業にするということです。

よく、起業した人が、もう一度創業時の苦労を再現しろといわれたら無理だという話がありますが、それはその通りで、何の信用もなく何の経験もない、まさに徒手空拳。苦労しないほうがおかしな話です。しかし、個人的には、同業他社に転職を果たして、やれやれと思ったのもつかの間、お手並み拝見といった、周囲の期待値が高い分、成果を出さないと大変なことになると気づいたときの切迫感に比べれば(いまでもヒヤヒヤします)、創業は自由自在にやれた分、かなり楽だったように思っていますし、これまでの経験を活かせば、かなりのことができると思っています。

6年前デジカルを創業した翌月、丁度次男が生まれたのですが、今度は次女が生まれたばかり、これまたいい契機に違いないと思っています。前回は、子供が生まれるというのに、あんないい会社辞めて編プロなんか作るのかと結構周囲に心配(いやバカに)されたのですが、さすがに今回はもう呆れられているというか、ま、それなりに信用がついて、信頼されているということにしておきたいですね(笑)

一度会社を作ってここまでやってきた経験があるので、次はかなり素早く、確度高くベンチャー事業の成功を目指したいと思っています。自分にできることといえば、やっぱり経営者の仕事。資金調達と経営管理、それに多くのプロデューサーをまとめる合理的かつ情理的な仕組み作りといったところでしょうか。特に、マネージメントについては、徹底的に実践勉強して顧問も周りにガッチリ固めているので、ベンチャーといえども手堅く絶対に会社を潰さない経営をするつもりです。

事業自体は素早く軌道には乗せたいと考えていますが、その先、将来をどう考えているのかというと、あと20年は立派に戦える、いや楽しめる会社にしたいと思っています。もちろん短期的な成功も目指しますけど、仕事は大いなる暇つぶし。どうせやるなら楽しく、儲かるようにやりたいものだし、今は若い社員もこれから結婚して、子供が生まれてなど生活の変化があったときにも、うまく対応できるようにしたいと考えています。

少なくとも10年たてば出版業界は、まるで風景が変わっていると思っています。そのときに、なるだけ高みから見晴らせるような、そういうポジションを目指して今から目前の高い山目指して登ろうと思います。

ということで、今度集める人材(ウェブメディアの編集プロデューサー)は、最低でも10年は一緒に仕事をしてくれる人ということになるでしょうか。

職場環境を整えること

実はメディア会社の経営に必要なことは、優秀な人材がさらに力を発揮する環境を整える。これに尽きるんじゃないかと考えています。

大書店の近くで、地下鉄の駅から徒歩30秒という立地も、社員数に不釣り合いなほどの大フロアと贅沢な机も、そして最新のマシンや簡易印刷ができるぐらいの出力機まで、どれもこれも少しでも優秀な人材に入社して仕事をして欲しいがためです。ということで、社長は社内で一番隅っこの一番小さな机に座ってます(しかも後ろが全面窓で夏暑くて、冬寒い・・・)。

掃除も徹底的にやるため掃除機もいいものに買い換えて掃除当番をきっちり決め、入り口の花をきちんと変えたり丁寧にやっています。数年前までは、そういうことに結構無頓着だったのですが、振り返ってみれば、雑然とした埃っぽいフロアで働いていたときは、やっぱり仕事は粗雑だったようで、当時はクレームが非常に多かったですね。最近は、ほとんど皆無ですから。

というわけで、積極的に定期的に模様替えとか、設備投資を行っているのですが、今回

オフィス環境は常に最善の状態を保ち、少しずつではありますが、投資して改善していきたい考えです。
こういうことには時間をかけたくないので即断即決でいきます。いまから17時までに、不具合のある点、改善要望、改造提案、どれでも一人1件まで、お知らせください。17時半には決裁します。

とメールを投げたら、8件ほど。全社員、ここが・・・と思っていることを改善できたと思います(よね?)。さすが会社のことを考えてる優秀な社員たち、来客用のグラスや茶葉、茶托、棚、本棚など総額2万円ですみました。あとはラジオの選局と冷蔵庫管理のルール改善など、約束通り全部で1時間できっちり決裁できました。

提案受付から決裁まで短期間の締め切りは初めての試みでしたが、これはスピーディーで非常によろしいように思いますね。月イチぐらいで改善やってもいいかもしれません。

「オタク成金」

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これまた編集者とのエピソードが興味深い。

俺さ、ひとつだけ自慢したいことがあって。俺が何年も長く付き合ってきた編集さんは、ことごとく俺に対して文句言ったりとか叱ったりとか、ダメ出しをしてくれる・・・口の悪い、手厳しい編集さんなんだよな。逆に”先生の玉稿をいただきに・・・”みたいな編集さんは、全部避けてきたの。今は売れてても、いつか墜ちちゃうとしたら、そういうところだなっていうのが、このときにわかったんで。
本当に墜ちたときって、自分の力ではどうにもならないぜ。冷静に自分を見つめなおすことができない。どこが悪いのかわからない。
そんなときに助けてくれるのが、叱ってくれる人だから。だから作家を目指す若い人たちに、これだけは言っておきたいんだけど・・・自分のことをちゃんと叱ってくれる編集さんはいるか?そういう人と付き合ってるか?
俺、好き勝手わぁわぁやって取り巻きみたいな連中もたくさん集めたけど、売れなくなったとたん、周りにはホント誰もいなくなっちゃった。
でも、厳しいことを言う人間っていうのは、ホントに作家や作品のことを考えてくれるんで、そんなときでも・・・他の人間がバッといなくなっても、そういう編集さんは残ってくれたんだよ。
”大丈夫ですよ先生、まだやれます。一緒にやりましょう”
そう言ってくれた。どこが悪いか教えてくれって聞いたときに、言いづらいこともはっきり言ってくれた。そういう人たちを残してきたっていうのは、自慢していいと思うんだよ。

昨日もゲラに赤字を入れるのが仕事だと思っているバカ編集者が多いって話しをしたけど、仕上がった作品を滅茶苦茶にすることが厳しいことだと思ってたりするんだよね。救いようがないね。それで売れればいいけど、たいてい徒労に終わる。

編プロでデザイン会社だから、いろんな編集者の仕事を見せてもらってるけど、「三校なのにこんなに赤字入れちゃって、で、これで何冊売り上げが上がるんだ?」というものが結構あって驚きなんですよね。向こうは下請けって思っているのかもしれないけど、そう思って仕事している人って実際は下請けからは、バカ編集だなって思われてたりしますよ。

最初に作家に対して面と向かって意見を言えないのは、気が弱いからとかじゃなく、単に勉強不足、遊び不足で、語るべきものが何もないからだって思います。

「がっかり力」

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最近買った新書の多くがこの「がっかり力」をはじめとするアフタヌーン新書。

漫画雑誌は熱心に読まないので、どういう文脈でこの新書ができたのかはわかりませんが、あえて2ちゃん的な内容を書き下ろしの新書でというのは、ものすごくチャレンジャーで面白いと思いました。残念ながら中身はどれもこれも、それこそがっかりでしたが。

売れてるんでしょうか。正直なところ、ここ1年ほど、本は値段を一切見ずに大量に買っているので、買った後にこれらの新書が800円もするのに驚いています。半分仕事の資料だと思って、なおかつ財布に余裕があるから買っているわけですが、くだらないネタを購読して楽しもうと思うか800円。うーん。

本田透さんは「電波男」で知りました。面白かったので、以後新刊はチェックしています。発売当時「電波男」を読んだときはスゴイと思いましたが、昨日読み返したらそうでもなかったのは、それだけ当時の空気を絶妙に読み込んで解説していたんでしょうかね。それはそれで立派にスゴイことですが。

本書の巻末に、その「電波男」前後のがっかりな話があって、それが一番面白かったのですが、中でも編集者評が素晴らしいと思いました。

なんか、中身や表紙にあれこれ口を出すことが編集者の仕事だと勘違いしてカリカリしている人が、存外に多いんです。
違うんですよ。
編集者の仕事は、面白い本、あるいいは売れる本を作ることです。売れさえすれば、担当は寝ていてもいいんです。
いい原稿さえあがれば、担当は飲み屋でオネーチャンと騒いでいるだけでもいいんです。

仰るとおりです。元編集者としても、編集ってゲラに赤字を入れることが仕事だと思っているバカが多いと思います。サラリーマンなんだから儲け出さなきゃだめなんだってのに。でも、もうすぐ滅びると思うのでカリカリする必要もないでしょう。

がっかり力。

9時1分 1,000円の男

今日は社員の話です。

結構頑張っていると思われる男なのですが、セコイ遅刻が直らない男です。連日徹夜作業で頑張っていることも知っています。

しかし、難しい仕事を頑張っているから、人よりたくさん仕事をしているから、だから何だ。どうせ遅刻するなら昼過ぎに堂々と出社してくるぐらいの気概を見せたらどうかと言えば、エヘラエヘラ受け流す小心者ではないか。

今日、ある事案の打ち合わせのために1,000円の経費を使いたいのだが、事前に相談していなかった、許可して欲しいと、外出先の私にちょろっとメールを送ってきた。1,000円だから。必要なものだから。直前だけど知らせたから。いろんなテキトーな理由が透けて見える。

昔、給料が足りなくて生活できませんと曰う編集志望者がいた。自分の生活のやりくりもできないやつに、どうして貴重な制作予算を有効的に利用することができのか大馬鹿者と叱ったことがあるが、1分の遅刻や1,000円の経費の稟議に手を抜くようなやつに、どうして数ヶ月にわたる数百万単位の仕事を任せてみようと思うのか。

自分が社長になって考えてみたら、どれだけ大馬鹿者か背筋が寒くなってくる話だ。

と、こういうことを書いていると、決まり事をひたすら生真面目に頑張る手合いも出てくるわけだけれども、人に期待されるようなガムシャラな仕事ぶりを見せなければ、失敗もしなければ、叱られることもないだろうが、そのうち仕事を頼まれることもなくなり、相手にもされなくなって、一人静かに立ち去ることになるだろう。

それほどに、どんな会社でも、大きな失敗をした社員ほど、後で大きな利益を得ていると思うのだが、失敗にもほど遠い、せこくて、みみっちいミスを一刻も早く改めるべきだ、だから今日、あえて大馬鹿者と言ったことをありがたく思ってって感じだが、それは無理、社長甘いよと萩原に笑われそうだ。

そう、あれこれ社員のせいにしてみたが、社員の甘えた行動を甘やかしたままの、大甘社長がすべての元凶なんですね。大いに反省し、仕事の失敗を許し、小さなミスを許さない会社にしたいと考えています。

人間国宝 鶴賀若狭掾師匠

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浄瑠璃新内流の家元、鶴賀若狭掾のブログを編集することになっていて、師匠から招待券を頂き国立劇場に行ってきました。三宅坂経由で事務所に帰るとき、いつも横目にいつか行ってみたいと思いながらも縁遠かった場所ですが、間近で見るとやっぱり迫力ある建物ですね。

邦楽のライブは薪能を見たことがあるぐらいです。浄瑠璃は初めてでしたが、なるほど、こういった演奏会なんだと勉強になりました。社中の発表会と新名取の披露があって長丁場。11時半に開演して、終演は20時です。

新内流は、現代では邦楽の中でも超マイナーで、私も教えてもらうまでその存在すら知りませんでしたが、江戸時代の庶民芸能としては一般的なもの。曲も遊女の話だったりで、大人の世界です。曲目は知らずとも、なんとなく曲調は聞いたことがあるんじゃないでしょうか。神楽坂の稽古場にもお邪魔しましたが、まさに芸者さんのBGMです。

この話を取り次いでくださった映像プロダクションの社長さんもDVD販売のためにいらっしゃいました。さて何枚売れるかしらね、とのんびり仰ってましたが、その姿勢はしっかり学ばなければと思った次第。さて、肝心のブログ。どうプロデュースしましょうかね。

「売れる新商品」の見つけ方、作り方、手のうち方

  1. 販売ネットが最初にあって、そこに何を乗せるのかを決める。1.販売ネット、2.売り方、3.お客様、これを決めて商品開発に取りかかる。
  2. どんな新商品を開発するか、情報を収集する。情報が多ければ多いほど、成功の確率が高くなる。最低でも100以上の商品情報を集めておく。
  3. できるだけ多くの情報を集めたら、その中から社長としてやりたい商品を5〜6つ選択する。
  4. やりたい商品が選択できたら、その商品のモデルを作ってみる。何通りか試作品を作り、販売テストする。
  5. 試作品が決まったら、生産計画を立て製品化する。
  6. ライバルがいるかどうか、いる場合にはライバル対策する。
  7. テスト結果を反映させ、値段、商品名、デザイン、宣伝方法を決める。
  8. 発表計画と販売計画を立てる。
  9. 売上、経費、粗利計画を立て、それに沿って新商品の販売を展開する。
  10. 一定期間、売上傾向を見ながら、販売を継続するか、撤退するかを社長の判断で決める。

経営合理化協会の1万円ほどする本なので、紹介もおすすめもしませんが、これこそが今からやるべき仕事ということでメモ。

町の発明家の多くが貧乏なのは、「作り上手の売り下手」だからである。「作ることなど誰にもできるが、売ることが難しい」と考えた方がいい。そうなると売ることから入って、ものを作るという発想こそ大事である。

ああ、耳が痛い。しかし、どうすればいいのか分かったので後は早いです。即実行です。

君たちのいちばんのライバルはどこにいるのか?

今年は手塚治虫生誕80周年。松本清張は100周年で、ガンダムも30周年。なんだか記念事業ばかり。

もう、これからはこういった小説、マンガ、アニメの分野で、一人の作家、一つの作品で莫大な富が生まれる時代ではないということなんでしょうかね。もしくは、それほど売れる新しいコンテンツが現代には欠乏しているのか。

でも、新しいコンテンツ自体は、ネットやケータイの空間で今この瞬間もたくさん生まれ消化されていているので、それらが目に見えて収益を上げていないために、過去の遺産でもう一儲けして食いつなごうという、そういった過渡期ということでしょうか。

最近はブログに書くことが山積で、書こうと思う気持ちばかりが先走ってまったく編集ができず、相変わらずタイトルと前置きと本題がずれていますが、まぁ現状このブログはモノローグなので、それでよしということで。

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star「巨匠」手塚治虫像の再確認として

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昼に買ったのですが面白くて一気に読み終えました。昔、NHKの手塚治虫追跡ドキュメンタリーで、その驚異的な制作活動をみたことがあります。よく漫画家の仕事は大変だ聞きますが、手塚治虫の仕事は、もはや修行僧のそれに近い過酷さで、ただひたすら息をのんで見た記憶があります。

著者は、手塚治虫の担当編集者からアシスタントになり、三十数年そばでその仕事を見てきた漫画家で(私は知りませんでした)、様々な”伝説”が読みやすくまとまっています。もはや単純に仕事に活かせるとか、そういうレベルではありませんが、その中に手塚治虫が、採用したアシスタントに訓示する場面が印象に残ったのでメモ。

「君たちは、かつて地方にいて漫画家を志し、そして今こうしてここにいるわけだが、実際に原稿をやりとりする制作の流れに身を置いていると、いつのまにかに自分もその世界のひとりとして安住してしまう。絶対にそれだけは避けてほしい。君たちのいちばんのライバルは、地方で漫画家の世界に憧れて頑張っている、漫画家予備軍なんだ」

この言葉、もちろんそっくりそのまま、来月にも”病気”が発症しそうな、全国の「ボクはクリエイティブな世界を志して会社に入ったのに・・・」というシュガーな新人たちに役立つ言葉だと思いますが、私にもガツンときました。

ウェブメディアを通して出版を実現したいという志で起業してこの方、幸い潰れることなく経営を続けていますが、ようやく人や機会に恵まれきて、それをもう少しで実現していけるというこのところ、目前の仕事(メディア制作進行と称した作業)に流されてるところがなきにしもあらず。

もちろん、実際のところ、あれやこれや難関が立ちふさがっているのですが、今このときも、日本のどこかにいる誰かが、人知れずすごいメディアを作ろうと頑張っていて、「あんたのやっていることは古いよ」と言われないかと焦ります。つい最近、寺内に、それはホリエモン病だよと言ったばかりですが(笑)

その寺内と昨日の昼に、やっぱライバルは必要だ、という話をしてました。寺内曰く、会社でも日頃は和やかに話してても心の底では(ぜったいコイツには負けないぞ)と思う相手がいたから頑張れたと。お互い同じ編集者だったから余計にそうだったのかもしれないけど。

自分の場合は、もちろん同僚に負けたくないというのもあったけど、どちらかというと、上司に対してコイツに絶対に勝ってやると思ってましたね。

あ、そこ笑わないように(笑)>萩原さん、寺内さん

ラスベガスを作ってしまうアメリカ人と、高速道路を作ればいいと考える日本人

CSI:科学捜査班、グリッソムやホレイショみていると、今のアメリカ人にとっては、ああいう一見クールに見えるけど、内面は滅茶苦茶熱くって浪花節というのがヒーロー像なのかなぁと思います。日本のドラマも似たようなテーマが増えてて、主人公の設定などかなり意識しているんだろうなとは思いますが、決定的に間違っているのは、そもそもドラマの構造が「群像劇」だから面白いのであって、科学捜査がテーマだったから面白いわけではないということ。もちろん、そんなこと素人に言われなくても現場の人にとっては百も承知で、実現しようにも世界的な市場で作っているドラマと比べられても、という思いもあるんでしょうけどね。

と、CSIは、NYやマイアミも後からできましたが、なんで最初に舞台設定をラスベガスにしたんだろうか?と、そのあたりよくわかりませんが、毎回みていると否が応でもラスベガスっていう街に興味を持ちます。皆さんご存じのとおり、ラスベガスは砂漠の中に作られたギャンブルの街。最近、映画「バグジー」が、ラスベガスにカジノ付き大ホテルを最初につくったベンジャミン・シーゲルの話だと知って見たのですが、ものすごい滅茶振りですね。ああでもしないと街は作れないものかとその情熱に圧倒されました。

さて、ドラマに映画にいったいどんな与太話かと思われそうですが、ラスベガスを作ったアメリカ人に見る、いわゆるフロンティアスピリッツというものがどういう情熱を指し示していて、翻って自分がいかに日本人的な気質に染まっているのか痛切に実感してるという話です。

要点はこうです。一人の情熱ある(この場合、しかない、のかもしれないが)男が、砂漠にカジノ付き大ホテル、フラミンゴ・ホテルを造った(造ることを決めた)。そうすると、そこに面白みを感じた有象無象が集まって最終的には世界的な観光都市ができあがった。観光地をプロデュースするのに、コンセプトアトラクティブという考え方があると以前もブログに書いたのですが、ラスベガスの場合は、観光地となるホテルそのものをゼロから造ったというところがさらにスゴイ話です。

で、どうしてアメリカには、自分にとって参考となるウェブメディアが多いのか、シリコンバレーの話を読んでも、天の邪鬼な自分には、ほんとうにそんなにスマートでクールにやってんのかね?と疑問だったのですが、ラスベガスのような街の作り方を体感しているアメリカ人という視点からみると、ああ、ウェブが彼らにとって新しいフロンティがであって、そうやって情熱を傾けているのか、としっくり納得できた気がしました。

どうしてこんなことを今日、思ったのかといえば、先週の河野さんとの事業戦略MTGで、危うく誤った戦略を選択するところを間違いを正してもらったためです。ウェブメディアを作ろうというのに、そういった本質を押さえずして、どのサービスがどうだとかレビューを繰り返したり、または、ツールやデザイナーを増やしても、ほとんど意味がないということ(それはやって当然だという話)。必要なのは、作ろうとしているものが「人が集まる」ものなののかどうか、ということであって、集めるためにやっているのか、作るためにやっているのか、胸に手を当てて考えたら、前者を考えつつ、実は一生懸命後者の戦略をとっていました。

どうしてそうなんだろう?と考えてみて、日本人のメンタリティなどと、大雑把な議論にしてはダメなのはよく分かっていますが、それでも、もはや原野を開いて都市を作ろうなどという場所すらリアルに残っていな い国土に生活していたら、人が来るようにするためには、もっと道路を造ろう、どうせなら高速道路がいいんじゃないか?いや新幹線があったほうがいい。とい う発想になりがちなんだと感じています(政治家や官僚を笑えません)。自分では、既存のシステムから独立して考えられると多少自惚れているところがありましたが、待ったくの誤り。どっぷり現体制に使っていると思い知らされています。