こういったタイトルを店頭で取ることはないのですが、この書評を読んで現代が「室町末期から戦国に至る状況に近い」という著者の主張を読んでみようと購読。

問題点や提起については、日頃からそうだろうなと考えてることがまとまっていたので個人的に新しい発見はありませんでしたが、大学の先生の本としてはとても読みやすく世間ずれがないので、いまの日本の問題をまとめて知りたいという点でお薦めの1冊だと思います。

今はどこかの時代に似ているというとらえ方は、応仁の乱後にせよ幕末せよ敗戦直後にせよ、混乱期に人がどう考えどう行動したか、そこが参考になるという話ですね。もう何年もそのことを考えてきたので個人的にはそろそろ飽きてきました。


今年の正月に帰省した際、親父殿に連れられて親父殿の祖父(自分の曾祖父)の家があった場所に行ってみました。そこは玄界灘と博多湾に挟まれた漁村で、一族が室町末期に京都からこの地に移住してきたことが寺の過去帳から分かったそうです。

いまは駐車場となって煉瓦塀だけが残るその場所に立ってみて、話としては何となくは聞いて知っていたことも、実際現地に行って一族の氏が沢山残っている昔のままの道筋を辿ってみれば、数百年の年月も身近に感じられますし、時代の変遷で生活や仕事が様変わりしたとしても、根本的なところは何も変わっていないんじゃないかということを感じました。いつの時代も大変だったし、悲惨なことも永遠には続かない。


そういうわけで最近は混乱期の時代に学ぶことは少し飽きてきていて、ここのところ江戸後期の村や村落経営について興味をもって調べてます。

村に興味があるといっても、土いじりをしたくなったりの自然回帰的エコ発想や、懐古主義的な田舎への憧れなどではないです。当時の社会を維持していた生産基盤をどうやって改善してきたのか、それが今にどう繋がっているのか、そのリンクが全く自分の中にないことに気付いたのでした。

よく近現代史を勉強していないことが問題になりますが、実は近世社会史の無知や誤解の方がより実際問題として重要なんじゃないかと感じてます。そもそも100年ぐらい前までほとんどの日本人は村人だったわけですから、その実態を知っておくことは現代の経営にも活かせるのではないか、特に混乱している社会情勢で原点回帰するとするならば、戻るべきポイントはそこじゃないのか、そんなことも考えつつ。

いま企業経営を考えるときに、戦国時代の領国経営よりは江戸末期の村落経営の方にヒントがあるような気がしてます。ちなみに当社の経営は、園山さんの農耕型企業風土の形成を前提にしていて現在のところ非常に上手く進んでいるのでこの仮説は間違っていない気がします。

以上、いつものようにほとんど紹介した本の内容とは関係ない話でした。