もう昔話ですが、転職面接で「何ができますか?」と尋ねられて「部長ができます」と真顔で答えたという話。

案外、いまでも笑い話ではないような気がします。

人材確保のためいろいろ手配して動いているわけですが、自分自身で実行していることはただひとつ。仕事をしている人々をじーっと観察することです。

人材集めはほんとうに苦労しますが、昔の人はどうやっていたのだろうと調べていたら、勝海舟が「人材は目玉一つ(どこにでもいる)」と、人がいないのではなく、人を見る目がないのだと語っていたことを知りました。

小さな会社を10年ぐらいやっているわけですから、いろいろな人と仕事をしてきました。基本的にはいい人に恵まれましたが、それなりに苦労もありました。

百数十万もの金を払って人材紹介会社に紹介してもらった人が、なんだかんだで休みばかりで実質1ヶ月ぐらいしか働かないのに3ヶ月で辞めてしまって唖然としたことや(人材会社に怒鳴り込みましたけど)、やはり紹介されて面談したときは普通だったのに、働き出したら目つきがかわって突然失踪して親御さんに連絡してみたり。

こういうのは極端な話ですが、いろいろあった末に最近わかったことはただ1つ。よい人材とは技術がある人でも、経験がある人でも、即戦力でもなく、いま素直で明るく元気な人、それだけです。これはどういうことかというと、そういう良質な素材の人に対して、何をどうしてもらいたいのか、その整理がついていない採用側の人間に問題があるということです。

つまりよい人材がいるかどうかは日頃の社長の姿勢次第ということです。「良い社長像はあっても、よい社員像などない」と一倉先生が仰っていおりますが、ようやく真意がわかりました。

ちなみに当社はデザイナーが多い会社なのでもしかすると職人気質だと思われているかもしれませんが、経営会議での合い言葉は「職人は儲からない」なんですね。なので技術力がありますなんて売り込みは、「すごいですね。で?」としか思ってません。

というところで、冒頭の「部長がやれます」というやつですが、以前大手企業でプロジェクトマネジメントをしてましたというような方をみていると、「もはやその看板もないのに、昔取った杵柄とばかりに同じ仕事の仕方でやってて、この先大丈夫なのかなぁ」と思うことがあります。

恐らくそれが拠り所ということなんだろうとは思いますが、個人的に思うことは、いかに素早くそういった過去の資産と考えているものを捨てて、ゼロベースで考え直して、その新しいところにいち早くなじめるかですね。せっっかく居場所を変えるわけですから。

人材探し続けていますが、職歴、学歴は言うに及ばず、実績や技術も不問です。みるべき点は”いま”明るく元気で素直な人です。