今朝は7時の新幹線で一路京都まで、ある会社の株主総会に出席してきました。リーマンショック直後、これはチャンスだと思って株を買ったんですけど、想像通り70%ぐらい値を上げていて、100年に一度という大不況期に、この辣腕経営者は何をどう語るのか直接話を聞きに行ってみました。

前々から面白い株主総会だと噂に聞いていましたが、確かに面白かった。面白かったというのは、社長の話が下手な漫談よりずっと面白いというのもそうだけど、微細に経営方針、展望を語り、かつ「質問がなくなるまでやります」の言葉通り、あらゆる質問に対して簡潔に、あるときは語気を強めて真剣に株主の質問に答えていて、個人的には生でカンブリア宮殿を見ている感じ。

強く感じたのは、長期展望をとても詳細に意識しているということで、成功、失敗体験について教えてくださいという質問に対して、10年、20年先を見て経営していくときに、あれは大成功だった、これは大失敗だったと振り返ることはまったくない、とキッパリ答えていたのが印象的でした。

複数の株主が、資産を増やしてくれてありがとう!と直接社長に感謝していたんですが、自ら大株主として自分の持株の価値を高めていくように経営すると宣言して実行していて、これ以上の株主価値経営のミッションステートメントはないと思います。

日頃、吉永先生に株主価値経営とはなんぞやと薫陶を受けているので、M&Aで会社を大きくしてきた社長で有名ですが、利益を生むためには、パイを増やすということを真剣に考えて実行しないと(これが一番大変なこと)、単なるマネーゲームでは、こう長期にわたって上手くいかないことはよくわかります。

リーマンショックの直後に電光石火のごとく社員給与のカットを宣言して、当時はボロクソに叩かれてましたけど、今となっては収益の早期回復どころか利益率倍増計画まで打ち立てて、あっという間に社員への借金を利子付きで返す勢いです。こういう人が、経営は結果である、と言えば、もうそれ以上の言葉はなくって、これを予防経営と仰っていましたが、実際今期決算で赤字を垂れ流している企業は、どんな言い訳をしても甘いと言わざるを得ないなと思いました(当然自社も)。

ということで、和やかに、ときに爆笑ということで、ファンクラブのイベントみたいな株主総会でしたけど、株主の質問も有名人へのインタビューみたいで、それについても一つひとつ真剣に答えていて、かなりいろいろなヒントを得ました。

第36期ということで、ほとんど自分の人生と同じぐらいの間、こんなにハードな経営を継続させているのかと思うと頭がクラクラしますが(うちはまだ6期)、見習って頑張りたいと思います。