社内会議で進捗の精査を行っているときに、効率的な仕事の進め方という話題になりました。現場に混乱があり、まずはそれを整理すべきだということ。仕事のワークフローを整備し、スムーズに作業が進むようにすべきだとという意見でした。

あぁきちんと説明して効率化と能率化の問題がごっちゃにならないよう、丁寧に解決せねばと思いました。

まずは字義を確認。新明解によると

能率
(一定時間内の)仕事のはかどる割合。

そして、効率は、

効率
その事をするのに消費した労力や時間から見た、成果の程度。

両者大変似ていますが違いますね。

そして、立ち止まって考えて欲しいと伝えました。

いま君の考えている「能率化」によってもたらされる結果を、お客さんは一番に求めていますか? 本当に喜びますか? 単に直面する課題が「難しい」、もしくは「面倒」だから、優しく易しい手段を取ろうとしていませんか?

お客さんに要求されていない、君の考える効率化の悲願が見事達成されたときに、お客さんの表情はどうなっているでしょうか。笑顔ではないと思います。そして結果仕事の積み上げが失敗に終われば、次の仕事はまたゼロから積み上げることになるわけですが、それを効率的とは、言いませんよね。

あれ、仕事を効率化したかったんだよね?

本当に自分の仕事を効率化したいと考えるならば、仕事の能率を一番に考えてはなりません。まずは最初の仕事を成し遂げること、次にその仕事を積み上げること。そこで始めて分析できる結果が生まれ、その分析結果をもとに改善策を検討実行します。それが能率化で、この能率化が実現できたときに仕事の効率化が達成できます。

ここでわかることは、至極当たり前ですが先に必要なのは「率」ではなく「数」だということ、そして何より1つめの仕事を積み上げるために「仕事を成し遂げる」必要があるということです。成果がないのに、成果の程度は問えません。

しかし「頭が良い」人は、ここで道を迷いやすいと思います。特に新しい仕事や未経験の仕事に直面すると、切ってはいけない方向に舵を切ることが多いと思います。

というのも、お客さんはいつも全てのことを見通し、完全無欠な合理的判断に基づいて物事を決め要求をしているわけではないためです。さらに言えばそれすら気付いていないことも多いと思います。自分の買い物を思い起こせばわかると思います。

つまり仕事を成し遂げ積み上げて行く過程では、お客さんの要求を満たすために、非合理かつ非効率な状況を通過する必要があるのですが、それを頭のよい人は見通してなかなか受け入れ難く、結果として仕事を達成できず(もしくは受け入れる前に見送るため)成果があがりません。

積み上がる成果がないのに率を考えるなど、端から見ればバカバカしいことです。しかし渦中にいるとこれがわかりません。ことによっては、うまくつまらない仕事を受けなくて済んでよかった!などと思ったりします。おれって効率的!

ほんとうに?

そして、ある日ふと気がつくのです。どうして自分の仕事はいつも突然忙しいのだろう、どうして自分の仕事はこんなにつまらないのだろう、そして、どうしてこんなに儲からないのだろう。

どうして?

この迷路にはまらず仕事を真に効率化するためには、日々どういう行動が必要なのか。

そのためには、自分が「何をするか」ではなく、お客さんの要求を満たすには「どうするか」を考え実行することが必要です。

たいていの場合、検討した実行計画を前にすると、自分が損をしそうに感じるでしょう。しかし、そこを前に踏み出せるかどうかですね。ある意味バカにならないとこの壁は突破できません。これらはお客さんを上司に置き換えても同じだと思います

ちょっと話がそれますが、最近のノマドとかフリーランスとかの議論で危ういなぁと思うのは、自分のライフスタイルに合わせて仕事を効率よくコントロールできるという話です。果たしてそうなのでしょうか、実態としてはほとんどが仕事がないので暇なだけのようにも思えます。

仕事がない人が効率化を図れないのは説明したとおりです。