●なんと今週で期限切れ。

この夏休み、とても休んでいられないということと、長男が中学生になったということもあって、子供たち3人で田舎に帰省旅行させたのですが、もはや鉄道オタクと笑えないほどの知識量を誇る息子は、最適ルートを割り出しただけでなく、自分の乗りたい列車を選んで、いたって脳天気な妹弟を引き連れ、石川と福岡を巡って無事返ってきました。

あともう1日使えたんだけどね。もったいない。

その時に青春18切符を買ったのですが、その存在をすっかり忘れ、残り2回も使えるのに期限が9月10日(土)と気づいたのが先週の初め。誰か子供つれて出かけるかと思ったら、この日は学校の避難訓練だとかで、家内も子供たちも学校に出るとのこと。それでは、と心置きなく一人気ままな(そして実は一人寂しい)日帰り鈍行の旅に出かけてきました。

もう一日期限があれば一緒に行けたか、途中で一泊してもう少し遠出もできたのに。実際、その日は使っている人たくさんいましたし、JRさんさんもうちょっと期限を考えてくれればいいのにと思いましたが、まぁ却ってそういう制約があるのも面白いだろうと、金曜日の夜、打ち合わせで疲れ果てた体にむち打ち翌日の計画を立てました。

●青春18切符にはお世話になりました。

青春18切符は、その名の通りにお金に余裕はないけど、時間だけはたっぷりあった20代にはよく使いました。当然、東京から福岡まで1昼夜かけて帰ったこともありますし、中国山陰、東北北陸も、それぞれ何泊かしながら、あるときは一人で、あるときは友人とであちこち出かけましたね。

ちょっと懐に余裕がでてくると贅沢な乗り方もしたくなるわけで、とりあえず大きな時刻表を買って始発に乗って、ガタゴト鈍行に揺られながら次の行き先を考えるという感じの旅を覚えてからは、心はいつもそれを求めています。あ、ここで降りよう!ってできるのがこの切符のいいところです。知らない駅で降りて、おもむろに観光案内所に立ち寄って、いい宿がないかと地元の人に尋ねて宿や食事処を決めるってのが、自分にとっては一番最高の旅です。

●さて、どこに行くか。

ただ、今回は日帰りと決まっているので、最大どのアタリまでいけるのか、またどこまで行けば元が取れるのかということぐらいはネットで調べてみました。すると案の定、同じようなことを考える方がたくさんいらっしゃるようで、いろいろなルートが出てきました。ただ日帰りということでのんびり観光でもなかろうと、ちょっと疲れてるし温泉に行けるといいかもなぁと考えていたら、やんばダムで有名な川原湯温泉がいいという書き込みが一件ありました。

高崎辺りだったら日帰りで打ち合わせにも余裕でいけるぐらいの距離ですからね。というより普通に通勤圏ですかね。それぐらいの距離なら朝早くでかけなくても温泉にいけるかなぁと。それと、やんばダムができると沈んでなくなるらしい吾妻線の川原湯温泉駅、ぜひ行って見ておこうと思いました。

●結局、行き当たりばったり

朝はのんびりと10時ぐらいに出発ました。到着予定は14時です。青春18切符なので当然全部普通列車なわけですが、さすがに先週一週間の疲れもあってか、新宿から乗った湘南新宿ラインは、池袋でお客さんがどっと降りて座席に座れると、高崎の近くまでほぼ爆睡状態でした。

高崎は何度か降りたけど、よく考えたら初めて駅の外に出たかも。

普通列車ののんびりした揺れもまた眠気を誘うわけですが、終点まで乗るっていうのも気兼ねなく眠れてよいですね。で、高崎の駅に近づくと、留置線のところでものすごい人だかり。なんだか列車の撮影会のようなものをやっているのが見えました。ちょうど吾妻線の乗換に50分あって、どうしたものかと思っていたので立ち寄ってみました。こういう予期せぬイベントにも気兼ねなく参加できるというのがよいところです。ただ、予期せぬイベントだけに、会場が思いの外遠く、今度は乗り換え時間ぎりぎりになってしまいましたが。

炎天下。すごい熱気。

こういうイベントでした。

結局、ゆっくり食事をする時間はなくなって、駅でうどんを飲み込むように食べると発車間際の吾妻線のホームへ。ほっと一息、久しぶりにローカル線の狭いボックス席に座って、さていよいよ本格的に旅情を楽しもうかと思ったら、意外にも、どこにでもある地方都市の風景が続きます。

あぁ、このまま1時間半も乗るのかぁ、そもそも川原湯温泉ついても、どこに行くかも決めていないしなぁと、さっそく行き先を変更すべきか悩みはじめ検索を始めました。

●時刻表を買わない旅は初めて

普通電車を上手く乗り継ぐためには時刻表は必須ですが、この1日のために時刻表を買うのもあれだし、そもそもスマホがあるじゃないかと、乗換案内とネット検索でどこまでいけるのか試してみたい気持ちもあったので、結局何も買わずに乗り込みました。

結論からいくと全く問題なかったですね。問題ないどころか、これだけあれば、時刻や路線、駅周辺情報は調べられるし、音楽聴きながら写真もとって、当然電話もかけて。スマホと財布があれば電波の届くところ(たいてい線路が通っているところは届くわけで)、どこまでも気軽に出かけられます。

ということで吾妻線に乗ってから行き先変更、どうやら20分ぐらい乗ったところに小野上温泉という駅があることを路線図PDFで見つけ、その駅をwiipediaで調べると駅前に温泉があるという話。大慌てでそのサイトにアクセスしたら、最近リニューアルして料金もとてもリーズナブルなことが判明しました。で、これはもうなんとしても行かねば!と決めたのが一駅前の小野上駅。

まさに、ぶらり途中下車の旅ですね。ずっと検索してて気づきませんでしたが、すっかり田舎風景に切り替わった駅前の直ぐ目の前に立派な温泉施設がありました。

左の建物が「さちの湯」、右が小野上温泉駅。ホントに目の前。

小野上温泉 さちのゆ


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駅前徒歩2分、しかも入浴料格安です。たぶん地元の人が中心なのでしょうね。数人一緒に降りた乗客が一緒になりましたが、全く混でもおらず、大きな休憩用の座敷もあって、かなり大きな施設なのに、実はここはものすごい穴場だったのかもしれません。こういうヒットがあると、やはり行き当たりばったりの旅がやめられなくなりますね。

運転しなくていいからね。ごくらく。ごくらく。

それにしても、スマホがあれば、これまでだと駅降りてからの調査が、事前に検索して調べられるようになって不要になった分、効率的に回れるようになっているかもしれません。ま、そうやって結局、自分で自分を忙しくしているのかもしれませんが。。。

●リーズナブルにゆったりと贅沢な気分、なにより自由

温泉につかってゆっくり1時間ぐらい休憩して帰途につきました。さすがに帰りもロングシートの座席に1時間半はしんどいなと、ちょっとずるして750円支払ってグリーンに乗ってしまいましたが、そういうささやかな贅沢がとても優雅に感じられる青春18切符最高ですね。

温泉代とビール代とグリーン代とで2000円ちょっとでした。ちなみに新宿から小野上温泉まで、通常片道2520円なので、まぁもの凄く儲かったという距離ではなかったわけですが(18切符は1回2000円)、途中気兼ねなく降りられてふらっと出かけるためにはいい切符ですね。うちは家族が多いので、次のシーズンには1枚買ってもう一度出かけてみようと思います。

高崎始発。絶対に座れる。乗るしかない。

帰りに列車に揺られながら、毎日毎日、予定に追いまくられる生活。こうやって何もかも自由に出かける時間を作ることでバランスを取っていたのかもなと思いました。ここ数年は、車であちこち気ままにでかけていたので気づきませんでした。

しかし、先週福岡に行ったばかりなのに、こうやってせっかくの休みなのに出かけてしまうというのは、やっぱり自分には基本的に放浪癖があるんだろうなと思いました。犬の散歩じゃないけど、たまに自由に出かけて気持ちをリフレッシュしないといけないんだろうなと。