今後の「攻城団」について

●はじめに

約2ヶ月にわたる「旧攻城団開発チーム」開発内容ついての、専門家によるリサーチ結果を踏まえ、ゼネラルプロデューサーの河野さんとともに今後の「攻城団」の開発とSEIHAプロジェクトの展開について協議を行い方針を定めました。このエントリーでは、今後の「攻城団」についてまとめます。

●開発中断の経緯

すでに事務所移転の前後で「攻城団」の開発の失敗要因と、開発作業を緊急停止、調査に入っていることについては、2つのエントリーで説明してきました。

2011年5月19日「SEIHAの現状と今後について」

1.内部設計が完璧にできていなかった。

今回の攻城団の企画は河野さんからの提案によってプロジェクトが始動しました。すでに明確な企画コンセプトがあることに油断して、詳細な設計を詰める前に(それなりに詰めたつもりでしたが)システム開発を外注してしまいました。最終的にこの問題が最後まで尾を引きました。

2.初めての開発をオフショアで行った。

攻城団のシステムは中国大連の会社で開発を進めました。私自身は今でも中国人と日々接することもあるので、外国人だからダメという結論は持っていません。ただし文化として、例えば日本人が納品物といえば、それは80パーセント以上、場合によっては120%の完成度をもってそれを提出するのに対して、60%程度のもので提出し、それに対するストレートな注文と応対を繰り返すことで完成に至るというような背景があることに最初気づきませんでした。

3.資金不足に陥った場合の対応が未熟であった。

明確に定めていたわけではありませんが、開発チームには途中から受託案件などの作業を手放して開発に集中させました。ただし、小さな会社では、超低利の長期借入金とはいえ、それでも止めどなく出て行く開発資金に対して、開発が行き詰まりを見せた頃から私自身が果断な決断ができなくなりました。

2011年6月16日「儲ける体質、組織をつくることが第一。」

1つはSEIHAに顕著ですが「開発」を甘く見ていたことです。この開発というのはウェブシステム開発という狭義の意味ではなく、商品開発における「開発」の意味ですが、具体的には千三つの世界どころか、さらに成功の確率の低い大変危険な賭であるという認識がまだまだ足りなかったということです。

このリサーチについては、素人のつたない相談に乗って頂いた開発会社の皆様、および個人的にご協力頂きました方々には、ご多用のところお時間を割いて頂き本当に感謝しております。皆様ありがとうございました。

●今後の開発方針

結論としては、「攻城団」の継続開発は可能であるが(大連の仕事もそんなに悪くない内容とのこと)、完成させるためには相応の追加予算が必要ということでした。また、足りない(莫大な)予算額も明らかになりました。当然のことながら、今の当社でそれを用意する余裕もなく、この時点で現在の経営資源での自社開発は一時中断せざるを得ず、「攻城団」から「SEIHAフレームワーク 第一弾」の看板を外すことを決定しました。

今後ですが、次のように考えています。

1.デジカルは、条件が整えば「攻城団」の開発を再開して完成させ、SEIHAの機能全部入りプロジェクトとして事業展開していく(香月としては国内観光促進の一助となる事業に取り組みたいことと、その先に新しい出版の体現も考えているため)。

2.完成に至るまでは、コミュニティとしての「攻城団」kojodan.jpを、将来的に「攻城団」のプロデューサー(運営者)となる河野さんが何らかの形で場を暖めていく。

3.再開発するための資金調達は、「攻城団」および「SEIHA」の意図を理解し、「攻城団」による日本の国内観光の活性化という目的に賛同し、一緒に開発・運営を楽しんでもらえる人からの出資を模索する。

4.システムは、今後取り組むSEIHAプロジェクトの企画提案(これについては別エントリーで説明します)による実践的な開発・運営によって最適なシステムを作り上げ、それを適応させる。

もともと、攻城団はSEIHAプロジェクトという大きな枠組みの中で、この実現を加速するための素敵なショーケースとするために開発を進めてきました。今回のリサーチによって、その実現のためには、当初私が想定していた以上の資金投資が必要だということがわかりました。

さらに開発遅延で炎上した結果、いつしか攻城団の開発そのものが目的化し、SEIHAという大局を見失っていた反省も踏まえて、この攻城団の実現については戦略を逆転し、実際に実現できるSEIHAサイトから開発を進め、そこで蓄積した開発ノウハウを、改めて「攻城団」に適用することにしました。

●改めて開発を振り返る

現状の攻城団は、システム開発のディレクションで手間取ったために開発を中断しましたが、何度も書いているとおり、すでにデザインやデータベース、運営方針などは公開できる状況まで作り込みを終えています。

一刻も早く公開・運営したい。

このエントリーを書くために1年前からブログを読み返しました。喜んで読み返せるような内容ではありませんが、しっかりと失敗を見据えた上での今後の展開です。冷静に見つめ直す意味でも経緯をまとめてみました。もし興味がある方(興味を持って頂けた方)は一読ください。全くの余談ですが、ブログやっていて本当に良かったなと思いました。このエントリーをまとめることができるだけでも値千金だと個人的には感じています。

2010年

4月2日:SEIHA第1弾「攻城団」を7月1日リリースします。

4月7日:SEIHA「攻城団」ドライブ

7月17日:ちょっと大連に行ってきます。

8月9日:SEIHAフレームワークで未来の読者を作ろうと考えています。

9月14日:もう頑張らなくていい、真剣にやってほしい。

11月15日:11月26日がくる。

2011年

2月15日:SEIHAと攻城団についてブログ書きました

2月15日:SEIHAのプロデューサーネットワークについて考え始めている

3月18日:一週間が経ちました。そして次の一週間に向けて。

4月15日:事務所を移転し出直します。

4月20日:それでも掘り進む。金鉱まで残り3フィート。

5月19日:SEIHAの現状と今後について

6月16日:「儲ける体質、組織をつくることが第一。」

すでに去年の秋の時点で、プロジェクト破綻の萌芽があったことがわかります。しかし、その時点ではすぐに打開策を打てなかったのもまた事実です。今年の3月以降は、地震の混乱とともに事態の整理に時間を費やしました。

途中で何度も、できたところで公開したらどうだという話を頂きました。しかし、そこはゼネラルプロデューサーの判断に任せました。そして、結果未公開という判断は今でも間違っていないと考えています。

それこそ、大きな事業を運転するための、その器となる大事なウェブサイトです。基礎工事がしっかりとできていない、チームの準備も整っていない、そういう状況で公開したところで、きっとみんなは「面白いね」と言ってくれたとは思いますが、本気で使ってもらえるサービスになることなく、それこそ「いい経験だったね」で終わっていた可能性はあると考えています。

大きな事業をするための準備、特にSEIHAはライフワークを提案するウェブサイトですので、この1年の無駄足も結果的には必要な足踏みだったと、そうなるように繋げていく考えです。

結局、旧開発チームで失敗したことは、内部設計が足りなかったということですが、それについても最終的にキャッチアップができなかったことが問題であって、すでにこの点については、ディレクション人材として徳永くんを迎えており、さらに懸案となるシステム開発については、今回のリサーチで協力してくださった複数の実力ある開発会社の皆様にパートナーとなって頂くことで、120%実現の可能性が高まりました。あと足りないのは資金のみです。

●資金調達についての考え

この「攻城団」の開発については、数年前にデジカルで儲けて蓄えた資金を全部つぎ込みました。いま手持ちの余剰資金はゼロです。ゼロどころか、のめり込んだあまり本業が手薄となったため、そのために使い込んだ借入金の返済のためにも現状は全力で取り組んでいます。

私自身は単純に大金を手に入れたいという考えはありません。結局、毎度この攻城団の開発を振り返ったところで、いつも最後に到達するのは、お金があっても上手くはいかなかったという事実に行き着くためです。開発チームをそろえることはできなかったし、マネージメントも完璧にはできませんでした。

しかし、資金がほぼ尽きた今だけれども、逆に周囲を見渡すとチームが揃い、マネージメントの手痛い失敗を糧とした経営の自信はつきました。ということは、今度は確実に「やれます」ということです。

またまた余談になりますが、今回の会議の席上、1年以上にわたってこのプロジェクトに尽力してきた玉造くんが、SEIHAサイトの根幹となるある重要な事柄(河野さんが魂込めてレクチャーしてきたこと)をしっかりと受け継いで次なる企画の検討に望んでいる姿を見ました。もとより今回の開発を無駄な投資とは思っていませんが、しっかりと土台となるものは積み上がっていると感じる場面でした(SEIHAの当初の目的の一つは人材育成でもあった)。

閑話休題。

先月の日経新聞で、尊敬する経営者の一人である日本電算の永守社長が、日本に「大型」ベンチャー企業が生まれにくくなっている要因のひとつが、創業者が安易に資金集めできるようになったことだと思うとして、次のように語っていました。

せっかくのベンチャーでも簡単に創業し、すぐにIPOしてしまう安易な会社が増えているように思う。そうした会社は結局大きく育たない。大きなビルを建てようと思えば、基礎工事がしっかりしていないといけない。会社にとっての基礎とはつまり、資金繰りの苦労や人材育成、マーケット開発、製品開発、技術技能開発などだ。

(中略)

ベンチャービジネスは弾が一発しか入っていないピストルのようなものだ。打ち損じれば機関銃で撃ってくる大企業に負けて会社はそれで終わり。だからこそ真剣に狙わないといけない。少ない資金をできるだけ有効活用するため知恵を絞る。その結果、企業体質が引き締まる。我が社でも、資金集めに苦労したプロジェクトほど成功したことが多く、簡単に資金調達できたプロジェクトは失敗が多かった。

安易に資金が手に入ると、緊張感も薄れバランスを取れた経営ができなくなるからだ。創業経営者が成功するためには、少なくとも5年間は資金繰りに苦しむ辛抱の時期が必要ではないだろうか。

この数年資金繰りについては真剣に頭を悩ませましたし、事務所を縮小移転した今でも気分は毎日がタイトロープです。しかし、それでいいんだと思います。だからこそ、絶対にこの事業で儲けを出していこう、そのためには役に立つ企画提案をしっかりやっていこうと、そういう原点に引き戻してくれるためです。

●おわりに

本当のところ実際はどうだったの?といわれるとここで答えられないことはあります。実際には、腹立たしい場面もたくさんありました。しかし、私自身、人として足りない部分を直視する事態にも直面しましたし、のめり込むがあまり結果的に家族や仲間にも迷惑をかけ、面目ない部分もあるのは厳然たる事実です。

それでも今日こうして仕事を続けられて、再び攻城団の開発に向けた方針を定めることができたことをもって良しとしたいと考えています。

そして、始めたから止めないというような、子供じみた自分の都合だけで開発を継続するのではなく、この「攻城団」が絶対に面白く、そして日本の役に立つ活動であり、かつデジカルの新しい事業展開に必要なことだと信じています。そして、これからは失敗しないようにではなく、成功するように取り組み直す考えです。

次のエントリーでは。今後のSEIHAについてまとめます。

4 Replies to “今後の「攻城団」について”

  1. ピンバック: KATSUKI Noboru
  2. ピンバック: 樂典フィードバンク
  3. 相見積りは取られましたか?
    システム開発の見積りは本当にピンからキリですよ。
    (また、必ずしも安かろう悪かろうの世界でもないです。)

  4. おっしゃる通り、安かろう悪かろうの世界ではないですね。
    それとプロフェッショナルな方々とお会いできたことが何よりの収穫でした。

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