ここ数日のブログを読んで「大丈夫なの?!」との心配の声を寄せられました。気にかけてくださって、またいつも読んで応援くださってありがとうございます。

大丈夫です。しかし、この一週間は、掲題の決断を下すために苦悩しました。そして本日は、出張から戻り次第社員を集めて、直接的には資金繰り対策として、事務所を時勢に合わせた規模に縮小し、それに合わせて会社の規模も見直すことを伝えました。

創業来、今までずっと拡大しか経験していなかったために、早くにこの経営判断ができずに苦しみました。創業したときは四谷四丁目の富久町の交差点付近にフロアを借りました。1年経たずに手狭になって、たまたま下の階が空いたを知り、すぐに2フロアに 広げました。そしてそれからまた1年、つまり3年目には、さらに勢いに乗って、その2フロア分のさらに倍の今の事務所に移りました。

それから5年ここにいるわけですが、もはや小さなフロアのころの記憶がほとんど無い状態です(実質1年しかいなかったので)。今の駅のほぼ真上という 立地を含めて愛着もあり、つい最近も大幅に手入れをしてきれいに整え直したばかりでした。実際には、入居してからずっとこの方、社員数に比しても広すぎ て、多少もてあましていたところもあったのですが、それは、そのうちここを一杯にしてやろうという思いに転換して奮闘してきました。

ところが震災で、その思いも含めて一気にそれが大きな負担に変わってしまいました(資金的にも精神的にも)。すでに社員のみんなには、この先、急激に大変になる可能性があるだろうという話をしていて、震災後もすぐに立ち直って営業活動なども精力的に取り組んでいたのですが、私自身どんどん現場に出てあちこちで実際に話を聞いたり、 その感触を得るほどに、最終的に社員のみんなに取り返しのつかない大きな迷惑をかける前に、資金にまだ余裕がある今のうちに方針を修正すべきと考えるようになりました。

一方、せっかくここまでやってきたんだという思いとともに、SEIHAなど次なる展開を考えると場所として今の事務所は確保しておくべきかもなどと、その思いはグルグルと逡巡し煮え切りませんでしたが、今週になってさらに大きな余震があったこともあって、やはり早く手を打っておかなければならないと判断し、取締役とともに協議をし、経営会議で協議し、さらにいろいろな人に相談した結果、来月には事務所を移転し体制を見直すことにいたしました。

実はこれは攻城団の追い込みで公開直前でもあるタイミングなのですが(それが迷えることの最大の要因でもあったのですが)、それもこれも同時にやるほかありません。

そして、この事務所移転に合わせて、社員のみんなには、今から一ヶ月半の時間を使って、資金にも余裕のある今のうちに、それぞれ次の道を開いてもらうことにしました。この大変な時期に雇用を完全に確保することができず、力及ばず大変申し訳ないことだと思っていますが、この先、希望的観測に基づいた積極方針をとり続け、資金繰りに完全に行き詰まったあげくに全員が破綻をするよりはと考えました。

デジカルは5月末には新しい場所に移転して、現取締役3名を中心に時勢に合わせたスタイルに直して、これまで準備を続けてきた新業態開発事業を中心に業務を続け、次の展開の時期を待ちます。

来週以降も、通常通り業務は継続します。今作業を進めている案件のうち、社員が担当している一部の案件につきましては、ご迷惑をおかけするものもあるかと思いますが、5月までの納品案件についてはほぼ予定通りに納品を進めていけると思います。

将来の約束を果たせなかった社員のみんなには本当に申し訳ないことで、何を言ったところで、実質的にいわゆる都落ちの状態ですが、その責任を噛みしめ、当分は引き継ぎや片付けなどを愚直に取り組みながらも、依頼のある”新しい出版”に関する企画や、好評頂いているブックデザイン、それにSEIHAプロジェクトを継続させていき、次の飛躍の機会を待ちたいと思います。