子供たちの掛かり付けの小児科の先生がブログを書いています。私は会ったことはありませんが、いつも家内の話題にでてくる先生で、長男が1歳のときから、いま1歳の次女まで10年以上ずっとお世話になっていて自宅近辺では有名な先生です。ブログの内容に感服するところが多いのですが、昨日は子育て論について書いてありました。

子育ての目標は自立と自己責任を教えることにある。この2つで充分だ。それは18歳までに行うものだ。18歳を過ぎた大人の行動は、自己責任である。「育てた親の顔を見たい」とは思うが、行動責任は本人にある。麻薬で捕まった息子を、親が庇って謝罪する。泥酔してケンカ沙汰になったバカ息子の謝罪を親がやる。大の大人の行動を、親が庇う必要がどこにあるのか?そのような行動は、再犯を促す行為だ。「本人は大人であり、行動の責任は100%本人にある。私は道義的責任を感じるが、本人の行動に責任はない。法律にのっとり、処罰してほしい」というのが、親のスタンスではないか?子育てには楽しみと期待の他に、しっかりとした教育方針と決意が必要だ。

院長の常識論(子育て) | 三宅小児科ブログ

自立と自己責任を教えられていない人間を雇うほど企業にとって恐ろしいことはないと思います。特に社員を解雇するのがとても難しい日本で、そういう人を正社員として雇ってしまうと、社長は言うまでもなく、同僚までもが無責任な人のために振り回されて、病んでしまうほど痛々しい状況に陥ってしまいます。

そもそも企業が人材を教育すべきだといって憚らない人は、企業が何をするところなのかをその本質をわかってないのだろうと思います。割と年配の人でも平気でこういうことを言う人もいますが、恐らくずっと平和に過ごしてきて平和ボケしているんだろうと思います。勤めるといろんなことを教えて貰えて、そして給料が貰えてそれが当たり前なんだと。

企業が教えることができるのは業務だけです。この道具を使ってこの素材をこうやって加工してください、とか、お客様が来たらこういう挨拶をして、こういうふうに商品を薦めなさいとか、要するに収益を上げるための業務訓練です。

働いているとなんとなく人格形成ができものだと思われていますが、それは真剣に業務に取り組む過程の話で、厳しい訓練や体験を通じて副次的に得られる人生経験で、それも個人がそれを自己修練として意識して初めて得られるものであって、朝会社にきて席に座っていたら自動的に何かを教えてくれるもの、そういうものなんだと思っているとするならば、それは大変おめでたくその方の将来を思うといと哀れです。

そしてその業務訓練。みんな簡単にいいますが、企業はどれだけの時間とお金をそこに注ぎ込んでいるのか、本当にわかっている人はいるのでしょうか。かくいう私も社長になって初めてわかりました。

この秋、新設メディア事業部でようやく新しい仕事がいくつか決まり動き始めました。そのメディア事業部で活躍している玉造くんは入社3年目です。今や彼は書籍のレイアウトデザインからウェブサイトの企画デザインまで当社のデザインワークに関しては一通りに任せられるところまで育ちました。しかし、ここに至るまでには入社後丸2年の歳月と、具体的にはウェブデザインの業務訓練を経てのことで、本当にようやく戦力になってきたなという感覚です。

ちょうど一年前のことです。その玉造くんを始めデザイン室の面々に、これからは紙だけじゃなくウェブにもその活動の場を広げて欲しいとデジハリさんにお願いして独自研修を実施しました。

2009年12月28日 「デジハリでABC」

本当に思い返して、あれから一年かぁ・・・。彼はこの研修以降、本当に頑張ったと思います。特に今年はSEIHAプロジェクトにも加えて、私も未知の仕事の現場で厳しい大西くんとも何度もぶつかりながら、いまやそれが堂々と張り合って、それにとどまらず私のところに、社長ちょっといいですか、を平気で言えるまでに成長してくれました。いまやもう得難い当社のニューホープです。

話を戻して、デジハリさんにお願いしたこの研修は、デザイナーが紙とウェブの垣根を取っ払えるような、そういうものをお願いしたいということで無理を承知でカリキュラムを考えていただきました。私自身の考えとしては、この先「私は紙しかやりません」なんて言う人はやっていけないだろうし、正直もうさっさと滅んで欲しいと思っているからです。例えばうちの紙のエースデザイナーの萩原も、彼は紙だけやっていると思っているかもしれませんが、ちゃんと「編集者JP」というブログメディアのディレクションもやっています。いや、ほんと稼ぎ頭の上に頭が下がりますね。

そういう萩原のような上司の後ろ姿をみて、また新しい仕事に面白がって取り組んできた玉造くんはしっかりと自分自信で育ってきたのだと思いますが、私としてはデジカルで初めて人材育成ができたのだと、そのことが嬉しかったという話とともに、つい先日そのデジハリの方からメールをいただいて、その内容に小さくガッツポーズをする思いでした。

また、デジタルハリウッドもこの秋より大々的にカリキュラムを変更し、次世代のクリエイター育成のために「Web」や「DTP」といったカテゴライズを止め、
「デジタルコミュニケーションアーティスト」と銘打って、多次元のメディアを活用できる高度な人材育成に方針を切り替えました。

「SEIHAプロジェクト」など、様々なメディアの切り口を生み出す香月様にまた興味を持っていただけるコンテンツとなっているかと思いますので、また一度ご覧いただけると幸いです。
http://school.dhw.co.jp/

自分が一年前にそうなってくれたらと思っていて取り組んでいたことの一端がこうやって実現したんだと。”「Web」や「DTP」といったカテゴライズを止め”っていうところに、そうだよそうなって欲しかったんだよと嬉しくなりました。人材育成に本気のデジハリさんがこのように変わるのであれば、今後排出される人材には私が求めるような感性の人びとがでてくるのだと思うと非常に嬉しくなってきます。

たった一年のことといいますが、この一年は会社としては赤字に苦しんだ一年でした(まだ苦しんでるけどね)。それでも辛抱強く成長を待った甲斐があったし、世の中の変革に自分も微力ながら参画できたという自信をつけることのできる出来事でした。

そしていま、この一連の人材育成の大きな成果の一つとして、大西くん、玉造くんがコツコツと作業を続けてきたSEIHAプロジェクトをいよいよ事業として展開しようというところまで漕ぎ着けました。

私の考えはSEIHAはプラットフォームビジネスと他社のメディアビジネスの支援事業に加えて、いつも河野さんと話をしていて最近はこれがウェブサービスのあるべき本質と考えている、多くの人びと(それは日本人に限らない)を動かして日本経済を活性化する一助となるような、具体的には日本全国の観光関係者に新しいサービスの提案をして多くの人を観光地に連泊させることができるようなアイデアを実行し、そのメディアで蓄積したコンテンツを編集して新しい出版を展開する、そういった今後10年は自分たちで全力で取り組めるビジネスに乗りだそうと考えています。

初めて小さな会社を経営して、もしかしたら国を動かすような仕事ができるんじゃないのか?と、そういう小さな自信を密かに抱いています。何事も動かそうと思って取り組めば、たとえ時間がかかるといっても少なくとも人は動かせるものだと、今回人材育成を本気で取り組んでみて実感しているところです。

果たしてこの先どれぐらいの時間と、どれだけの資金が必要なのか、今私自身皆目検討がついていませんが、私と河野さんのSEIHA・攻城団事業に任してくれれば、しっかり動かしてみせますよ。ここのところはズバリ、ストレートに本気の資金提供者そして協業企業を募ります。

私自身かなりイケてるベンチャービジネスだと自負しています。はっきりいって河野さんの考えている構想の全部を本当に実現できるところは他にないと思います。なのでこれを大事にしながらもスピードつけて大きくしていきたいのですが、だからといって早期にリターンを求めるような金儲け前提の資金提供や、我々から単に何かを安く買ってそれを使って自分だけ儲けようなんて協業のはお断りです。10年以上は一緒に楽しめる人を選びます。

すでに私は河野さんと将来的な事業展開について契約をしています。興味のある方はぜひこのブログからご連絡ください。どんどんお会いしていこうと思います。社員など事業スタッフも募集をいたします。