今日はウェブ系の面倒な仕事を全部片付けてる白井くんの慰労に近所に飲みに行ってきました。ちょっと付き合えよって誘って気軽にいけるってのはいいものです。

で、「まあ頑張れよ、言ってもお互いそう年変わらないんだし」と話してたら、

「でも、何年社長やってますか?」

「7年だけど」

「それが大きいですよ」

「そうなのかね。自分では全くそういう風に考えたこともないけどね」

「自分は一時期フリーだったからなおさらそう思いますけど、自分の確定申告ですら必死だったんで、社員がいるなんて信じられません」

「ははーん(ニヤリ)」

「?」

「なんで続けられるか分かる?」

「いや、全く分かりません」

「あのさ、もし会社が行き詰まったとしたら、それでお終いと思ってるから。なんとしてでも社員を食わせなきゃ、なんてこれっぽっちも考えてないもん。あはは」

「え?そうなんですか」

「あたりまえじゃない。だってそもそも会社ってどういうことが始まりか知ってる?」

「あれですよね。東インド会社っていうか船乗りですよね」

「そうそう、プロジェクトの目的が達成されたらお終いなんだから、客がいなくなったら終わりでしょう。いま一生懸命業態転換してるのは、もっと航海続けたいと思っているからであって、でも社員がそれを望まなくて変わりたくない、もしくは変われないんだったら、お客さんいなくなって、いくら航海続けたくってもそれってお終いってことでしょ。」

「そんなに開き直って考えてるとは知りませんでした」

「あと、なによりも会社って有限責任じゃない。なんでオーナー経営者だったら死ぬまで責任取らないといけないのよ。そういう考え自体がおかしいと思ってるから。だから、お客さんがいなくなったらこの会社は終わりだと思ってるし、取締役3名も、いつでもまた3人体制に戻ればいいと思ってるしね。会社終わったらその後の社員のことなんか知らないよ。みんな知ってるかと思った」

「いや、誰もそんなこと考えてるとは思いませんよ。いつも厳しいこと言ってても、最後は、社長が何とかしてくれると思ってると思いますよ」

「そうなんだ。自分の気持ちはいつも、ホームレス中学生のお父さんだけどね。はは」

「解散!ですか」

というような話をしてました。ま、酒の席なんで勢いで話してましたけど、会社の方針には従えない、で好きなことしたい、でも給料はちゃんと欲しい、社員がそんなふうに勝手なこと言ってるんだったら、社長も勝手にやればいいと思いますよ。それこそ、儲かってるけど、いつ解散するか分からない会社に勤めるのって、良い緊張感だと思いますね。

私が駆け出しの頃にお世話になって、十数年ぶりにお会いしたベテランライターの方と、今日、あなた出版社のことでお話をする機会がありました。そのライターさんは私よりも年上ですが、

「もう日本ではライターで食べていけないと思っているから、今年は中国に進出しようと思ってる」

「え?」

「すでに現地の出版社の人間とも接触を始めているし、上手くいったら移住しようぐらいに考えているよ」

という話をさらりとされまして、これだけたくさん仕事をしてて、そんなことまで考えているの!?と、そのときはびっくりでしたけど、冷静に考えてみたら当然のことですよね。そういや、これまで絶対に海外にいかないと言っていたあの永守社長でさえ、もう働かない日本に愛想が尽きたと中国進出を語りましたし。

働いている人は猛烈に働いてます。だから、働かない(苦楽を共にできない権利ばかり主張するような)社員と一緒に会社なんて続けられませんよ。ま、そもそも辞めたい人は勝手に辞めていくわけだしね。社長が辞めたってのも普通にありでしょう。

こういうのは何度でも言っとかないと伝わらないけど、同族会社でもないので、経営者として社員を食べさせていくなんてこれっぽっちも考えてません。

新しい出版の実現に向けて、出版に関わるすべてのサービスと出版そのものに、寝食を忘れ、苦楽を共にできる人と一緒に働きたいだけです。そうやって真剣にサービス開発して提供して儲からないはずがないでしょう。