誰が一木支隊を全滅させたのか

金曜日に買ったのですが読みやすかったので週末に読み終えました。

ガダルカナルの初戦を日本側の現場をミクロな視点から実際はどうだったのか、一木支隊長の人物像や遺族、生き残った隊員のオーラル・ヒストリーも交えて詳細に再現してあります。

敗軍の将であることや、突撃して全滅していることから「定説」としては、猪武者と表される一木支隊長ですが、実相としては、理知的かつ人間的魅力に溢れる現場指揮官で関係者の人物評も高い人物でした。

盧溝橋の現場指揮官として有名になったあとも、上官の牟田口連隊長が自らの功績と自画自賛する一方で、たまたまその現場を担当しただけと謙虚な態度だったというエピソードが印象的です。

ミッドウェーの攻略部隊として出征し、海戦敗戦の事実を秘匿する理由でグアムに留め置かれ、そのままガダルカナルに正確な敵情を知らされること無く転戦させられますが、この間、部下の掌握に努め士気を高めており、あの牟田口連隊長をしても「極めて勇敢で、用意周到な人物であった」と表するだけあって、著者は「一木支隊長の統率は、陸軍が明治揺籃期より追い求めてきた統率の一つの完成形」と分析しています。

それだけに、すでに歴史として知っている17軍司令部と大本営とのやりとりを観ながら、何も知らされず愚直に任務を遂行する一木支隊長の立場を俯瞰してみるとやりきれない思いです。

ただ私自身、大組織のなかなか曲がらない様子をみていたり、自ら監督している事業の成果を上げられなかったりすることを振り返ってみると、当時の軍司令官や参謀と同じ立場だったとしていったい何ができたのかと、諸行無常との感想で、支隊長の長女の、良き父親としての思い出話を読んだあとで、一木大佐が戦死したのが49歳だったというのを知って、さらに感慨深い思いです。

ノンフィクションの読み物として面白かったのですが、なぜ「全滅」したのか、どうしてそれが教訓として生かされなかったのか、ということに関して、日本とアメリカの組織の違いについて、「任務重視型」と「情報(環境)重視型」の違いをわかりやすく解説してありました。

この点、まさに組織の改革を実践している真っ最中なので参考となりました。私自身、経営者としては後者のつもりでしたが、まだまだ不足していることを知らされた感じがします。