「商業出版」の終わり

いったい誰が「商業出版」などと言い出したんでしょうか。

今更終わりなどと書いていますが、編プロとして版元に企画を売り込まなくなった2010年にはそう思っていて、いつかこのことについて書こうと思いながらも、そんな暇もなく5年も経ってしまいました。

そういえば、その「商業出版」なるものをもちかけていた「出版プロデューサー」をかたるブローカーもいつの間にか消え去りましたね。もっとも単に自分の周りにいなくなっただけなのかもしれませんが。

本当なのかよくわかりませんが、いわゆる出版社が本を出版することは「企画出版」と表現するのが正しいようです。優れた編集者の皆さんは日夜、書店で売れる本が何かを研究して自ら企画を起こして出版し、逆風の出版業界を支えています。ISSHIKIでもそんな編集者さんをコツコツ紹介していこうと思っています。

そして「商業出版」の対向が「自費出版」なのですが、現状は恐らく多くの方がイメージするそれとは違う規模で、そのサービスの本質を理解している出版社によって大きなビジネスになっています。また巷間いわれるような低品質なものばかりでもなく、実際成功しているところはそれを単なる自費出版とも言っていませんね。

何が言いたいかというと、企画出版で成功できるほどの中身もなく、自費出版ができるような資金もない方が、腕の悪い企画出版編集者や調子のいいことをいう出版ブローカーの餌食になって「商業出版」などといっていたのが実際のところだったと考えています。

そしてそれを複雑にしていたのが、この間のソーシャルメディアの普及で、出版のベストセラー戦略のようなものをちらつかせてセルフブランディングなどといって煽る人たちが出てきたことでしょうか。

この5年近く、出版で迷っている方で、面白い(役立つ)コンテンツをお持ちの方にはまずは電子出版を、コンテンツを作る部分から悩んでいる方には無駄なお金と時間を使わずに済むブログを書くことを勧めてきました。売れっ子になっている人は今でもその電子書籍が売れてますし、ブログ記事をまとめただけでも売れたアイテムもありました。

見ていて皆さんおしなべて熱心にソーシャルメディアで発信をしていましたが、売れる方は淡々とコツコツやっておられて、なにより出版・配信したコンテンツとその人のビジネスがイコールになっていました。当たり前ですが手段と目的が整理がついてないとうまくいかないということですね。いくらFacebookやTwitterで挨拶したところで、挨拶しか返ってこないのは当然だということです。

となると、作家になるつもりはないし、成功した企業経営者のような潤沢な資金もないが、今現在の自分のビジネスやアイデア、社会的な活動についてまとまった考えを「本の形」で世に送り出したいという方に、その目的を達成するための高品質で廉価な出版サービスを提供する使命が我々にはあるかもしれないと思いました。これがKIMPサービスを作った真意です。

しかし、サービスをはじめてみて思うことは、先程「本の形」とあえて言ったとおり、すでに書籍形態でも単行本、ペーパーバック(POD)、電子書籍(Kindle)と3つになり、それを販売するウェブサイトとの境界も溶け出しつつありで、進化のスピードが尋常なく早いということです。

最初はそれに読み手側がついてこれないと心配していましたが、現役世代に限っていえば、もはやテキストに限らないかもしれないと、別次元での課題解決の必要性を感じてきました。

この先々のことはまたじっくり考えて別の機会に書きたいと思いますが、ひとまず「商業出版」なる言葉は、短い役目を果たし終わったものと思います。

【また観た】マネーボール

野球は観るのもやるのもさっぱりですが、すでに4回観ました。

つい先日も、チームの戦力増強会議の参考になるからと幹部に言った手前、自分も見直しておかねばと、ただ深夜なので要点シーンだけにとどめ会議に備えておこうと思いながら、結局会議当日の深夜2時過ぎ、感動とともに5回目の鑑賞を終えました。

ここまで書いて、なんだかこの映画のことを書いた気がするなと思ったら、しっかり5年前に書いていました。

なるほど、そういうふうに感じて観てたのか。

さて、5年後のいまはどう感じているのか簡単にまとめると、当然ながら弱小資本でチームを作っていく視点で大変参考になっています。さらに冒頭のロートルスカウトマンたちとの会議のシーンや、頑としてスターティングメンバーを変えない監督の様子からは、そのまま職人デザイナーの頭の中を観ているようで、これまた参考になります。

今回はまさにそのエースデザイナーがISSHIKIチームのマネジャーとなって、いよいよチームを構築するところにシフトアップしてきたところでの戦力増強会議。映画とは違った方向で紛糾もしましたが、最終的に出てきた提案は、私の想定を超えたものとなっていて大変おもしろかった。つまり真に現場視点での生産性向上につながる戦力増強策が出てきました。

しかし、今回の鑑賞で今までになく心に残ったのは、幹部に観て欲しいと思っていた合理的な経営手法の部分でなく、”野球にはロマンがあるよな”というブラピのセリフでした。

そういえば最近は理に囚われすぎかもしれないな。もう一度「売れる」原点にも立ちかえって、不合理と思える選択も勘ピューターで対応していく時期にきているのかもしれない。

来年は面白くなりそうです。

あなたのコンテンツをふさわしいカタチで届けます

11月スタートと決めていた金風舎のアップグレードプロジェクトですが、予定していた月内にリリースできました。金風舎の本体サイトは明日リニューアルサイトをオープンします。

このサービスは今後「HONTENTS」事業の幹となるデジタルコンテンツの制作・配信・出版サービスです。

現時点ではAmazonで制作・配信、出版することに特化したサービスですが「本質をコンテンツとしてデザインする」をミッションとするHONTENTSチームでは、これまでの「書籍」の出版概念を踏まえ、それを超えた新しいデジタルコンテンツの制作・配信サービスへと発展させていく考えです。

KIMPの強みはコンテンツの制作・配信・出版のトータルデザインができることですが、提供する制作技術も当社がISSHIKIとして出版社に提供しているものと同レベルで、その品質には自信があります。

ただし、いまは大々的にサービスを宣伝することは、次の2つの理由から控えたいと考えています。1つはバックボーンとなるISSHIKIの体制です。この1年ひたすらチームの増強と生産性向上に努めてきましたが、それ以上に出版社の編集者の皆様からの引き合いも増え、いまそちらに追いつくのに精一杯で、こちらKIMPまで手が回る状況になるのはあと少し、年明けまで時間がかかりそうです。

また、もう1つはHONTENTSチームとしては、このサービスを受託事業の営業ではなく、当社からの配信・出版フレームワークの企画提案として、積極的に攻めて進めていきたいと考えているためです。また、同時に「書籍」の出版概念を超えたコンテンツパッケージの配信を開発する必要もあると考えているためです。

デジカルとしては昨年2015年から5カ年の中期計画を実行中ですが、来る2017年は最初のピポットポイントを設定しています。このプロジェクトの展開がその契機となりますが、サービス開発、チーム育成と山積する課題を着実に進めて、高品質なサービスを恒常的に提供できる組織づくりに集中します。

「ほぼ」できたは何一つできてない

「あの件は出来ている?」

「ほぼ出来てます」

「そう、わかった」

(数日後)

「で、あの件はそろそろ出来ているよね?」

「ええ、少し難航してますが、ほぼほぼ出来てます」

「そう、大丈夫なの?」

「大丈夫です」

「そう、わかった」

(数日後)

「あの件、もう出来たよね?」

「はい、出来てはいるんですが…」

「どれ、見せて」

「これなんですが、このあたりがどうしても難しくて、このようにも考えたのですが…」

「なにこれ、全く出来てないじゃないか!」


一体誰が悪いのか。

「ほぼ出来た」を完成が見えているとして見逃す(そうあって欲しいと願う)方が悪い。

47歳になりました

例年の振り返りポイントとして。

昨年、舵を切り替えたと書いた方向性で淡々と過ごすことのできた1年。もちろん以前に比べ、なので例によってイベントやアクシデントに事欠きませんでしたが。

普段の靴をスニーカーに切り替えたし、年配の人から仕事をもらうような仕事は止めました。特に”仕事の機会”を頂くイメージの仕事は完全にストップさせ、独自企画で仕事を作ることにしました。これで数年前にそうしようと決めた、社内で企画が湧いて出てくるような体制に近づきました。

近づいたけれども完全に切り替わったわけではありません。この47歳〜48歳の1年を、後に振り返っての明確な転換点にしたいと思ってます。

こう決めると、次へ次へと展開したい気持ちになってしまいますが、大きく伸びるためには屈んで準備する段階も必要。これまではそういった時間を惜しいと感じていたのですが、今回は以前と違って少し気持ちに余裕ができました。

この1年で財務が好転したこともありますが、人材にも恵まれたという点が大きく、なにより短期的に収益を伸ばすことに興味がなくなったためです。人手不足で人材不足のこの時期、新しい事業立ち上げに多くの人に加わってもらい心強い限りで、この好機を逃さずしっかりと人材育成と組織の土台作りをと考えています。

今年は大河ドラマを欠かさず見てますが、当初、戦国の中小企業経営者、真田昌幸に入れ込んで見ていたのですが、ここにきてやはり徳川はすごいなと思ってみています。映像には全く出てきませんが家臣団の構成に参考になる点が多いと感じています。家康はあまり人気がないので資料が少なく読む本がなかったのですが、つい最近ずばり徳川家臣団の新刊を入手して、天啓を得た気分です。

個人的にもすでに企画の槍働きで八面六臂の大活躍より、地味だけど後々大きく展望が開くような盤石で堅牢な組織を作ることに興味が移りました。あとは、さらに楽しく仕事ができるようにと考えています。

過去記事:

42歳になりました。

44歳になりました。

45歳になりました。

46歳になりました。

「紙の本」を作る仕事を続ける理由

「ISSHIKI」事業を取引先の編集者の皆様にご案内差し上げてから、好評と取引拡大の機会を頂いてます。ありがとうございます。

個人的にデジタルコンテンツビジネスに邁進する方向性に変わりはないのですが、なぜまたこのタイミングで紙の本を作る仕事に戻るようなサービスを展開させているのか、私のことを電子書籍ビジネスをやっている人としてお会いした方の方が増えているので、あれれ?デジカルは電子は辞めたの?と思われないように説明します。


もう4年前になりますが次のようなエントリーを書きました。電子に邁進しているブログを書き続けていますが、この当時から方針は転換していません。

この時に未来像として描いていたことがISSHIKIサービスの原案と、POD(プリント・オン・デマンド)技術を利用した出版サービスで、後者を金風舎のサービスとしてこれから展開します。

この紙とデジタルの同時展開は、私自身が編集者として仕事を初めた当初からデジタル組版技術に深く携わっていたことに潜在的な理由があります。紙の本を作ることを求められながらも、その仕事はデジタルでの生産性向上を追求するものでした。

以来この十数年で得られたデジタル制作技術を、改めて出版編集者視点で、本作りのプロフェッショナルである現役編集者の方々や、全国にいる本を出版したい人々に提供することを考えていました。

ただ、ISSHIKIなどと新たな名称までつけて紙の本作りサービスとして提供しようと強く考えるようになったのは、実のところ電子書籍関連事業を強力に推進するようになったためです。


いつだったか記憶は定かではないのですが、ニューズブックプロジェクトも始まり、携わる仕事が電子書籍一色になり初めたころ、実家で事業内容について話をしているときに母が一言ポツリと言いました。

「あんたの言うとおり電子書籍ばっかりになったら、私が買える本がなくなるやないね」

この数年前に父とは新聞紙論争で「お前の言うとおりもう新聞紙はいらんな」と勝利していたこともあり、実家ではデジタル派が主流を形成していたのですが、この母の素朴な一言は突き刺さりました。

そうか将来的にデジタルコンテンツが主流になるかもしれないが、少なくとも既存の出版社には、書店店頭で売れる紙の本を作り続ける社会的な役割が厳然として残っているなと。

実のところKindleを文明開化の黒船のごとく讃え、ゴミのような電子書籍を粗製乱造する業者や、電子にしない出版社はダメだといった安易な業界批判の論調にも辟易していたので、そういった浮ついた流れから距離を置きたいこともあり、この母の言葉を契機にもう一度紙の本の制作と電子出版について見直そうと考えました。

これが紙の本を作る出版社のためにISSHIKIサービス立ち上げを加速させた理由です。


タイミングよく昨年AmazonPODサービスも始まり、本作りサービスを一般のお客さんにも提供できる素地が整ってきて、私の中で未分化だった「紙の本」と「デジタルコンテンツ」の仕事の位置づけが明白に整理がつきました。

そこで「本作りを楽に楽しく」のISSHIKIと「本質をコンテンツとしてデザインする」のHONTENTSとに事業を2つに分けて進めることにしました。

経営的には、職人的な技術が求められがちなデザイン制作業を、組織的に展開することや、2事業を同時育成など大きな課題があるのですが、これも生産性高いチームを作るという課題と考えると将来性があり取り組みがいのある課題なので、経営者として難しい課題を楽しませてもらおうと思ってます。

電子出版事業をアップグレードします。

金風舎が3周年を迎えました。

2011年に立ち上げた前身となる電子出版関連事業から数えると、この5年で様々なレーベルを通じて200アイテム以上の企画をリリースしてきました。

一方で事業収益としてはまだまだ満足できるものには至っておらず、4年目を迎えるタイミングで事業方針を転換することにしました。

引き続き金風舎はボーンデジタル出版レーベルとして新刊を発刊していきますが、事業本体は、先日立ち上げた企画プロジェクトチームであるHONTENTSに吸収し、配信・出版サービスプラットフォームとしての展開を計画中です。

すでに試験案件を数点制作して発刊していますが、プロジェクトチーム内でもこのスキームであれば全国のお客様に満足頂ける内容になるものと考えています。

11月のサービス開始を目指して準備を進めています。

全社員研修2016

昨年に続き2度目の開催です。

今年も営業日を一日潰しての終日研修。午前中は当社の成り立ちから経営理念と事業方針を確認し、みんなで経営数字のお勉強。今年の目玉はエースデザイナー萩原さんの「しくじり先生」でした。午後は営業計画後に、現場を4チームに分けベテランも新米も一緒に職場の問題点の洗い出し。

ここで設定した課題を年間のプロジェクトに落とし込んでPDCAを回します。今年は昨年から社員も倍増しているので、もう一度会社の歴史からおさらいしましたが、昨年からどう変わったのか変わらなかったのか、この振り返り作業は聞いている社員よりも整理している幹部の方に絶大な効果があります。

また今回は懇親会を都内某所に部屋を借りて開催しましたが、マンションの一室という名実ともにアットホームなシチュエーションにもかかわらず、ペントハウスという非日常空間で、これはなかなかいい企画でした。

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今年も京王プラザホテルにお世話になりました。
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HONTENTS事業で笹金さん、田中さんにも参加頂きました。
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今回のお弁当。
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午後は4チームに分かれて同じ課題について検討しました。
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懇親会会場に都内某所のペントハウスをお借りしました。
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社員を自宅に呼べるような規模の家にしようと思いました。

HONTENTSチーム始動

デジカルとしては「ISSHIKI」に続く2つめのプロジェクトチーム「HONTENTS」を始動してひと月経ちました。

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9月1日が創業日

HONTENTSは「本質をコンテンツとしてデザインし配信する」をミッションとして、編集者並びに経営者としての経験を活かし、コンテンツの企画・制作・配信をする事業を展開します。

この1ヶ月は、これまでに依頼を受けていた企画、すでに取り組んでいる企画、新たにチームで立ち上げる企画など、様々なコンテンツ企画を立案、整理してきました。今月はこれらを一つひとつ形として作っていく段階に入ります。

HONTENTSの構想は、およそ2年前にウェブ制作部門を社内に持ちたいと考えたところからスタートしました。この間にISSHIKIを立ち上げたり、なかなか思うように人材が集まらなかったりの紆余曲折がありましたが、写真の通り初期スタッフ7名でスタートすることができました。

この7人という数字は七人の侍にあやかって2年前から考えていました。今後も7名チームに育ったら別事業としてスタートするように考えています。

ISSHIKI、HONTENTSと2事業がスタートした第14期。これから2年ほどかけて当社の業態を大幅に変える計画です。

夏前にブログ更新を止めてMediumに切り替えましたが、こちらは改めてデジカルの社長ブログとして再開することにします。

振り回される方が悪い

昨晩は月例経営会議でした。

今期もあとひと月です。増収減益で着地見込みですが、前期が今後2度とありえない抜群の成績だったので、結果的には期首計画以上の仕上がりです。頑張ったみんなにも多少分配出来ると思います。

しかし、先月の経営会議直後の東北出張から戻って以来、タイムスリップでもしたかのような、あっという間の1カ月でした。

要因は想定外の案件が立て続けて割り込んできて、通常の2倍以上の稼働だったため。久々に寝る間を惜しむ企画仕事で、気づいたら晩酌止まって、そのままの勢いでほぼ1カ月断酒中です。永遠に酒を断つつもりは無いですが、折角なのでこのまま続けてみようと思ってます。

それにしても振り回されたひと月。想定外の案件には曰く付き案件成分がかなり高く、精神的にかなり疲れました。付き合ってる自分が悪いのですが、何事も安売りしてはダメだなと改めて感じます。

来期の計画も概要が固まり布石は着実に打ててるようです。今月は主導権を取り戻して進めたいと思います。

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